使途が公開されない「官房機密費」の資金の流れ

使途が公開されない「官房機密費」の資金の流れ

 だが、自民党の歴代政権が機密費を選挙に使ってきたことは政界では公然の秘密だった。

 閣僚経験者がこう語る。

「首相や官房長官が応援に入るのは接戦の重点選挙区だ。党本部からも選挙終盤のテコ入れのために資金が追加されるが、首相や官房長官はそれとは別に、応援に入る際には官房機密費から陣中見舞いを置いていくのが慣例になっている」

 その一端が表に出たのが2019年の参院選広島選挙区での河井克行・案里元夫妻の選挙買収事件だ。捜査の過程で、「総理2800 すがっち500」などと書かれたメモが押収され、当時の安倍首相から2800万円、「すがっち」こと菅義偉・官房長官から500万円を受け取ったことを示しているとみられている。

 小渕恵三内閣の官房副長官を務めた鈴木宗男氏も、本誌の取材に対して、「1998年の沖縄県知事選で機密費が使われた」と証言。官邸から選挙の現場へと、カネがどう渡っていくかを語った。

 さらに本誌は、機密費の決裁権を持つ官房長官経験者から重大な証言を得た。

「陣中見舞いを(報償費から)出すということは自分の経験でもあった。(鈴木馨祐議員は『選挙目的に使うことはない』と発言したが)彼は官房副長官の経験もないし、報償費の使い道について断言できる立場ではないでしょう」

 官房長官経験者への取材に協力したジャーナリスト・相澤冬樹氏が語る。

「これだけ証言が重なれば、機密費を選挙にも使っていたという事実は動かしようがありません。鈴木(馨祐)議員の発言は勇み足ですね。記録も残さず永遠に使い道がわからないという機密費のあり方自体を見直すべき時だと思います」

※週刊ポスト2024年6月7・14日号

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