2024年4月から全ての自転車利用者にヘルメット着用が努力義務化された。ピーポくんもヘルメット着用を呼びかける(時事通信フォト)
彼は「自転車だけじゃないけどね」とすり抜けの原付バイクや最近都内を中心に増え始めた電動キックスケーターも怖いと話すが、やはり数を考えれば自転車がもっとも「ヒヤヒヤさせられる」と話す。別の取材でお話を聞いたバスの運転士も「狭い道を逆走自転車が来ると神経使う」と話していた。
「群馬の話ね。かわいそうな事故だけど、自転車乗ってる16歳の女の子なんて殺しちゃったらこっちも人生狂っちゃうよ。過失割合も不利だし、どんなに自転車が悪くてもむしろこちらの人生がおかしくなる。でも、そんな自転車がたくさん走ってる」
そうした中でもこの国の物流のために尽くしてくれているプロドライバーには敬意しかないが、2026年までに青切符の対象にされてしまうほど目に余る違反自転車の日常、どうにかならないものか。
直近も筆者は信号無視の折りたたみ自転車、歩道を並列で走る高校生の集団、前と後ろにお子さんを乗せて激走するお母さんの電動自転車(幼児2人同乗用自転車)と、まるで揃えたかのような違反のオンパレードを目撃しているが、正直すべてこの国の「日常」である。「努力義務」のヘルメットも仕事の人とごく一部の趣味で走るレース仕様の人くらいか。自転車のヘルメット着用、警視庁調べ(2023年)でも10%に満たない。
トラックドライバーと話の間にもスマホを見ながらママチャリで走る若者、コンビニの敷地に入ってきたので青切符導入について話を聞いてみる。
「何お前、誰?」
そう言ってそのまま店に入ってしまった。トラックのある場所に戻るとドライバー氏は苦笑い。
「無理無理。やんちゃそうだし、逆ギレされるだけだよ、たかが自転車でうるせーって思ってる」
逆走、一時停止違反、信号無視、スマホのながら運転――すべて道路交通法違反だが、どれも「たかが自転車」でこの国は事実上、見逃してきた。お目こぼし、とでも言おうか。自転車には免許がないので交通反則通告制度が適用されない。仕方なく、警察はあまりにひどい場合に限りいきなりの「赤切符」で対応してきたがそれも現実的ではなかった。