ライフ

臓器に悪さする「異所性脂肪」は毒性で生活習慣病を引き寄せる

痩せていても異所性脂肪が確認される場合も(イラスト/いかわやすとし)

痩せていても異所性脂肪が確認される場合も(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身(最終回)】脂肪細胞がない臓器に脂肪が蓄積するのが、異所性脂肪だ。肝臓や骨格筋、すい臓などの細胞に脂肪が入り込み、臓器の機能を低下させ、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病を引き起こすきっかけとなる。肥満の人だけでなく、痩せていても異所性脂肪が確認される場合もあるため注意が必要で、初期なら適切な食事と運動により減らすことが可能だ。

 皮下脂肪と腹部(主に腸の周辺)の内臓脂肪は、脂肪細胞に脂肪が蓄積される正所性脂肪であり、過剰なエネルギーを中性脂肪に変えて蓄える働きをする。それに対し、脂肪細胞ではなく、通常の臓器細胞に入り込み、蓄積するのが異所性脂肪で、肥満者に多い。見過ごしがちなので注意しなければいけないのは日本人の場合、遺伝的に皮下脂肪がたまりにくいため、痩せていても異所性脂肪がたまっていることがあるのだ。

 九州大学病院内分泌代謝・糖尿病内科の小川佳宏主幹教授に話を聞いた。

「異所性脂肪は、40歳以上の男性と閉経後の女性にたまりやすいといわれています。さらに体重は変わらないのに、ベルトがきつくなった、お酒をほとんど飲まないというのに、ALTやAST(ともに肝機能数値)が上がった。または高齢で筋肉が衰えたのに、体重が以前と変わらないといった方には、異所性脂肪が蓄積している可能性があります。それからシフトワーカー(交代制勤務)の方も、生活リズムが乱れることで、異所性脂肪がたまりやすくなります」

 その異所性脂肪が怖いのは、臓器の機能を障害する脂肪毒性だ。例えば、肝細胞に脂肪がたまる脂肪肝では、脂肪毒性により肝機能が低下し、NASHやNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)を引き起こす。それがきっかけとなって、最終的に肝硬変や肝がんに繋がるケースもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン