ライフ

ネイルで使う瞬間接着剤、発熱によりヤケドの原因に、1カ月の通院のケースも、ティッシュなどに染み込むと170度になる可能性も、国民生活センターが注意喚起

つけ爪で使われる瞬間接着剤が問題に(写真/イメージマート)

つけ爪で使われる瞬間接着剤が問題に(写真/イメージマート)

 国民生活センターは2024年6月19日、つけ爪(ネイル)用に使われている瞬間接着剤を原因としたヤケドが発生したとして、その危険性について注意喚起している。

ネイル接着剤の特性とその危険性

 国民生活センターによると、2023年11月にネイル用の接着剤が手指にたれて、ティッシュペーパーで拭き取った10代女性にII度のヤケドが発生するトラブルが起きた。ヤケドはI度からIII度に分かれII度は真皮までダメージを受ける状態を言う。この人は1カ月以上の通院を必要とする状況になった。同様な瞬間接着剤によるヤケドが2019年から7件寄せられ、2024年5月には大阪府で子どもがネイル用接着剤によるやけどを負う事故も発生している。

 このようなヤケドが発生する原因は、主成分である「シアノアクリレート系物質」の特徴にある。瞬間接着剤が接着する理由は、空気中や接着面の水分と反応して固まるから。このときに反応熱が発生する。問題になるのは、ティッシュペーパーや布に染み込んだ場合で、水分との反応が起こりやすくなり、短時間で急速に熱を発生させること。この場合に、ヤケドを引き起こす恐れがある。

 国民生活センターによる再現テストでは、ティッシュペーパーや衣類に瞬間接着剤が染み込んだ場合、十数秒で最高170度近くまで温度が上昇することが確認された。液状で粘度の低い接着剤が染み込みやすく、発熱しやすい傾向が確認された。瞬間接着剤は速やかに固まるため、発熱時に接着部分を簡単にはがせないことも問題となった。

 なお、モノ同士を接着する用途の接着剤の表示について調べたところ、6銘柄すべてに発熱についての注意が示されていた。一方、ネイル用の接着剤では、モノ同士を接着させる接着剤とは異なり、家庭用品品質表示法で定められた表示がなく、成分名が適切に表示されていない問題も判明した。

セルフネイルが一般的になり注意が必要に

 国民生活センターでは、ネイル用接着剤を安全に使用するために、ティッシュペーパーや布などの染みこみやすい繊維質のものに染み込むと短時間で発熱し、やけどをする可能性があるため注意すること。手などに誤って付いた際は、大量の水をかけるか、ぬるま湯の中でもんではがすこと、また、こぼしたときにはポリエチレン手袋をして布などで拭き取ることを求めている。

 コロナ禍の期間に自宅で過ごす人が増えてセルフネイルのアイテムの人気が高まり、価格が手頃でデザインも増えてセルフネイルが一般的になったとされる。そうした中で瞬間接着剤が使われることも増えており、注意が必要だ。

参考文献

瞬間接着剤の使用によるやけどに注意-つけ爪用接着剤にも使用されています-

「セルフネイル時代」に悲報?ネイル乾燥機が肌にダメージと研究結果

コロナ・パンデミックが世界の美容を変えた、その背景に韓国美容のトレンド

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
クマ対策には様々な制約も(時事通信フォト)
《クマ対策に出動しても「撃てない」自衛隊》唯一の可能性は凶暴化&大量出没した際の“超法規的措置”としての防御出動 「警察官がライフルで駆除」も始動へ
週刊ポスト
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン