2年前から子どもとパリに移住した杏
経費節減の賢いキャスティング
金メダリストの抜擢が目立つなかで、実績充分ながら名前が消えたアスリートがいる。東京五輪で日本テレビのキャスターを務めた吉田沙保里(41才)だ。女子レスリングで五輪3連覇を達成し、キャラクター的にもうってつけのはずだが、なぜ今回は声がかからなかったのか。
「各局が吉田さんの起用を検討したと思いますが、制作費との兼ね合いで見送られたのかもしれません。近年のテレビ離れの影響で、どのテレビ局も制作費の削減が顕著で崖っぷちなんです。吉田さんは小栗旬さん(41才)と『花王』のCMに出演するなど、タレントとしての側面も強い。彼女の出演料は“ランクが上”だったのかもしれません」(前出・テレビ局関係者)
吉田は7月26日にNHKが生放送する『パリオリンピック2024 開幕直前スペシャル』にゲスト出演することが発表されており、まずは東京のスタジオから大会を盛り上げることになりそうだ。
そのNHKは「アスリートナビゲーター」として、男子体操で3つの金メダルを持つ内村航平(35才)が現地から五輪をレポートするのだが、もう1人、意外な人物がキャスティングされた。パリ五輪の期間中、NHKはBSでフランス関連番組を40本近く放送する。そのスペシャルアンバサダーに起用されたのが、俳優の杏(38才)だ。
「2年前からお子さんたちとパリに移住した杏さんは、日本との二拠点生活を続けています。テレビ局がパリにタレントやキャスターを連れて行くとなると、当然、渡航費や宿泊費がかかる。しかも近年は円安の影響で、経費は膨らむ一方。
その点、現地で暮らす杏さんを起用すれば経費を抑えることができる。もちろん、杏さんが多くの視聴者からの好感度が高いのは言うまでもありませんが、関係者の間で“賢いキャスティング”という声が上がっているのも事実です」(前出・テレビ局関係者)
テレビ局関係者が指摘したように、今大会は制作費の削減と円安の二重苦が現場を直撃し、各局が“銭闘”を余儀なくされる。
「あるテレビ局は元スポーツ選手とは別に、出演料が高い人気タレントをキャスターとして現地入りさせて、競技会場内の取材を行うそうです。ただし、スタッフはもう一昔前のように高級ホテルに泊まったりすることはできず、飛行機も格安チケットで向かうようです」(前出・テレビ関係者)
現地取材も少数精鋭だ。
「以前は地方の系列局からもスタッフが五輪取材に派遣されていたのですが、今回は基本的にどこもキー局のスタッフしか現地入りしないと聞いています。取材スタッフは一人ひとりIDを発行してもらう必要があり、その発行にもお金がかかります。
これまでの五輪は情報番組ごとにスタッフが現地入りしていましたが、今回うちの局では複数の番組を代表して、アナウンサー2人とスタッフ4人が派遣されることになりました。彼らが現地で取材した内容を、各番組で共有する形です。スタッフ1人あたりの負担は増えますが、四の五の言ってはいられません」(別のテレビ局関係者)
パリを舞台にした熱い戦いは、すでに始まっている。
※女性セブン2024年7月11・18日号