1963年に出演したミュージカルの一コマ

1963年に出演したミュージカルの一コマ

ダンスがキレッキレ

 同作は、草笛演じる68歳の未亡人・リリーが、松岡演じるダンスインストラクターのマイケルと、レッスンを通じて心を通わせていく物語だ。

「以来、“リリーさん”“マイケル”と呼び合うようになりました。実はそれより前に草笛さんの舞台を観に行った時に、いきなりご本人から“マイケル(役を)やらない?”って言われたんですよ。驚きましたけど、“喜んでやらせていただきます”と答えるしかなかった(笑)」(松岡)

 共演時、草笛は85歳。松岡はそのダンスに目を丸くしたという。

「もうキレッキレで、足を頭より高く上げるのもへっちゃらでした。草笛さんは普段から、気づくとストレッチをしていて、準備に準備を欠かさない。日常の中にストレッチが組み込まれているから常に体が柔軟で、そのうえ物腰も柔らかい。あれだけの大女優さんなのに“私は女優よ!”って感じを一切出さないんです。だけど、いざ舞台に立つと、光を放つ。演技のしなやかさを体と心で表現できる人」(松岡)

 草笛は共演者との縁も大事にする。共演後、2人はプライベートでの親交も深めたという。

「銀座に行ったり、横浜の老舗ホテルのバーで飲んだり。街を歩いている時も肩を組んだり手を繋いだりして、本当にデートですよ(笑)。みんなで行く時も、草笛さんは一番キャッキャして、楽しく笑って飲んでいる。いい意味で日本人っぽくないというか、年齢を感じさせない少女のような愛らしさのある女性ですね。

 それとは別に、草笛さんの息子役を経験している寺尾聰さん(77)や水谷豊さん(71)と僕とが集まって、“息子の会”もやっています。そこではしゃいでいる草笛さんは、本当に息子たちに囲まれたお母さんそのもの。プライベートでも魅力的な顔を持っている人だから、芝居で見る者を魅了してやまないのも当然だと思います」(松岡)

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