スポーツ

【熱戦続く甲子園予選】プロや大学にはない高校野球審判ならではの「誤審の重み」 判定一つで球児の人生が変わってしまうことも

7月末までに各都道府県の代表校が出そろう予定(PIXTA)

7月末までに各都道府県の代表校が出そろう予定(PIXTA)

「夏の高校野球」シーズンが本格化した。7月下旬まで、甲子園出場を目指す高校球児たちの熱戦が全国各地で繰り広げられる。大会期間中、選手とともにグラウンドで汗を流すのが審判員たちだ。60歳を超えた今もアマチュア野球の審判員として活躍する内海清氏は、1994年に31歳で社会人野球を引退。審判員となった後は、信金での勤務の傍ら、週末を中心に年間80試合ほど審判員を務め、2019年にバー経営者となってからは、平日も審判員としてグラウンドに立ち続けている。そんな内海氏に、スポーツを長年取材する鵜飼克郎氏が聞いた。(全4回シリーズの第2回。第1回から読む。文中敬称略)

 * * *
 高校野球の審判には特有のプレッシャーがある。県立尼崎高校野球部で甲子園を目指し、大学、社会人とプレーした後に高校・大学野球の審判員となった内海清が言う。

「審判を始めて2〜3年は楽しく感じるものかもしれません。教育の場であるということもあって、高校球児たちは審判員を“先生”のように敬意を持って接してくれます。すると7割か8割は天狗になってしまう。でも、だいたいそれくらいの頃に、大きな大会で落とし穴が待っているのです」(以下同)

 夏の甲子園に?がる都道府県大会の場合、1、2回戦なら観客の大半は出場校の関係者だが、ベスト8にもなると大観衆がスタンドを埋める。

「審判員も人間ですから、球児と同じように緊張する。大勢の観客を前にすると信じられないような凡ミスをしてしまうのです」

 高校野球の場合、そうした誤審の重みの“性質”がプロ野球や大学野球とは異なる。負ければ終わりのトーナメント戦のため、極端にいえばストライク・ボールの判定一つで選手の野球人生が左右されることさえあるからだ。

社会人野球を引退後は、審判員として高校・大学野球のグラウンドに立ち続けた内海清氏(筆者撮影)

社会人野球を引退後は、審判員として高校・大学野球のグラウンドに立ち続けた内海清氏(筆者撮影)

審判が「絶対にバットを振ってくれよ」と打者に祈る場面

「“県大会でのベスト4進出以上”をセレクションの条件とする大学もあるようです。つまり、どんなに実力のある選手でも、審判のミスジャッジで進学できなくなることもあるわけです。一方で、甲子園という大舞台に進出したことで、それまでは無名だった選手がプロのスカウトの目に留まることだってあります。自分の判定が球児たちの人生を変えてしまうかもしれない──常にそう思うようにしています」

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン