立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
「NHKから国民を守る党」の立花孝志・党首が11月9日に逮捕された。容疑は、今年1月に亡くなった竹内英明・前県議への名誉毀損。竹内氏は斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ疑惑などに関する内部告発問題で、知事を追及する県議会百条委員会の委員を務めていた。
立花容疑者は、失職した斎藤氏の出直し選挙となった昨年11月の県知事選に、斎藤氏を応援するため“2馬力選挙”を展開。斎藤氏が再選すると、竹内氏は県議を辞職した。
それでも立花容疑者の“口撃”は止まなかった。昨年12月に「竹内氏が警察の取り調べを受けている」と街頭演説で発言。竹内氏の死が報じられても「逮捕される予定だった」とSNSに投稿した。
今年1月、県議会で県警トップが立花発言について「全くの事実無根」と否定すると、立花容疑者は投稿を削除し、謝罪する事態となった。
竹内氏の妻の刑事告訴を受理した県警は、今回、立花容疑者が「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」として逮捕・勾留に踏み切った。死者に対する名誉毀損での立件は異例だが、今後の捜査が注目される。
立花容疑者の逮捕により、“支援”を受けた斎藤知事の立場が危うくなるようにも感じられるが、そうした動きは見られないという。政治評論家の有馬晴海氏が言う。
「斎藤知事と立花容疑者は直接には関係がなく、2馬力選挙も勝手に応援しただけ。今回の逮捕で知事の責任が問われるものではないでしょう」
また、斎藤知事は昨年の知事選で、PR会社への報酬が公職選挙法違反(買収)に当たるとして刑事告発されていたが、立花容疑者逮捕の3日後の11月12日、嫌疑不十分で「不起訴」となった。
「仮に立花容疑者の逮捕を受けて批判の声が県民からあがっても、知事を監視して責任追及を担う県議会が動くのは難しい状況になりました。2馬力選挙などの道義的な責任を問おうにも、立花容疑者は徹底して無罪を主張するでしょうから、そのフォロワーの勢いも衰えないはず。それに抗って追及しようとしても、本人の疑惑が不起訴となった状況では材料に乏しいと言わざるを得ないでしょう」(同前)
斎藤県政は今後も安泰なのか。
※週刊ポスト2025年11月28日・12月5日号
