ライフ

ショッピングモールなどにやってくる“熱中症避難民”の高齢者たち 開店から注文せずフードコートの席を陣取り他の客とトラブル発生も

埼玉県熊谷市の市庁舎内に設けられている「クーリングシェルター」[同市提供](時事通信フォト)

埼玉県熊谷市の市庁舎内に設けられている「クーリングシェルター」[同市提供](時事通信フォト)

 2024年から運用が始まった「熱中症特別警戒アラート」。従来の熱中症警戒アラートを上回るこのアラートが発表された際に、住民に対して無料開放されることが求められる冷房が効いた施設、クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)の指定が全国ですすみ、庁舎など公共施設だけでなく、商業施設なども多く含まれている。朝の天気予報をテレビが知らせるときも、熱中症への警戒とともに、クーラーを積極的に使うこと、冷房が効いた場所で過ごすことをすすめる呼びかけが行われている。そのすすめに従って暑さから”避難”している人たちを中心としたトラブルが起きている。ライターの宮添優氏が、ショッピングモールなどにやってくる熱中症避難民との摩擦についてレポートする。

 * * *

 夏休み真っ只中、神奈川県内の大型ショッピングモール内にあるフードコートは、誘い合ってやってきたらしい子供たちや家族連れで大変な賑わいを見せていた。スイーツや食べ物を店舗で購入しても、イートスペースはほぼ満席で座れないという状態で、立ったまま、購入した焼きそばやたこ焼きを食べる人も相次いだが、突如、そんな喧騒を引き裂くような怒声が響いた。

「なんだバカ女が、暑さで死んだら責任取れんのか?」

 声の主は、70代くらいの高齢男性。高齢者男女数名で、イートスペースのテーブル席を陣取っていたが、テーブル上には食事は見当たらず、紙コップがいくつも置かれている。当時の様子を目撃していた、フードコート内にあるうどん店の男性店員(20代)が振り返る。

「怒鳴ったお客様たちは、10時のオープン直後に入店し、何も頼まず4時間以上席を陣取ってお喋りされていたんです。いや、イートスペースに置かれた無料の水やお茶を1人何杯も飲んでおられました。昼食どきになって混雑しても席を立つ気配はなく、食事を購入したものの席に座れず立ち尽くしていた若い女の子3人組が”席を変わってほしい”とお願いしたようなんです。それに対して、男性は激昂されました。正直、あまりに理不尽だと思いますよ。女の子たちは泣いていました。男性たちはその後も談笑を続け、午後になってやっと席を立たれました」(うどん店店員)

 実は、この怒鳴った男性のグループだけでなく、一部の高齢者の行動が、ショッピングモール内では問題視されていた。モール運営担当の女性(50代)によれば、似たようなことは去年の夏頃から起きはじめたという。

「夏のあまりの暑さに、ショッピングモールを避暑目的で利用されるお客様が増えたんです。もちろん、そうしたお客様を拒否したいということではありませんし、体調のためにもぜひ涼んでほしいという気持ちはあります。ですが、お買い物をしたい、食事をしたいというお客様の迷惑になることは、ぜひ控えて頂きたい」(モール運営担当者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン