事業費は最大約2倍、費用対効果は大幅に下落。「税金を食い潰す」整備新幹線3
蒸し返しが起きるのは、新幹線建設をめぐる“悪夢”を抜きには語れない。2012年の着工時のB/Cは1.1だった北海道新幹線(新函館北斗─札幌間)では2024年、事業費が6500億円増の約2.3兆円に膨らむことが明らかになり、B/Cは0.9に低下。その後、2030年度末の開業目標の達成が困難になっている。
北陸新幹線でも同様の不安はないのか。与党整備委員会委員長の西田昌司・参院議員に直撃すると、「まだ国交省から聞いていない」と断わった上で、懸念を一蹴した。
「建設費2兆円が4兆円になったとして、何の関係もないよ。経済がインフレに転じているわけだから、(建設)単価が上がってあたりまえ。政府が金を出すことで経済は進展するわけで、止めること自体が間違っている」
──着工後に7兆円、8兆円に増えても?
「同じですよ」
積極財政派の西田氏は「国の借金は国民の資産」という考え方の持ち主。国の借金が将来世代の負担になることを懸念する立場とは、議論がなかなか噛み合わない。だが、聞かないわけにいかないのは前述の朝日記事が「国交省と与党の関係議員は、費用対効果の計算方法を変更する方向で調整中」と報じた点だ。事実であれば、過去の事業との客観的な比較などが難しくなる。