坂本誠志郎(時事通信フォト)
今シーズンの巨人の“スガコバ”のようなバッテリーのかたちを往時に経験しているのが、1960年代の阪神で江夏豊氏の“専属捕手”を務めた辻恭彦氏だ。その辻氏はこう語った。
「巨人の小林を見ていて、ボクと似ているなと思いましたね。高卒ルーキーで入団してきた江夏と組んでいた時は、言葉にしなくてもその場でお互いの考えが理解できるようになって、こういうケースではこの球から入るといった考えが共有できていた。そうなるとどんどん勝てる。菅野と小林にもその阿吽の呼吸が芽生えつつあります。阪神のバッテリーは、そのあたりがまだピンとこない。岡田監督は投手との相性もさることながら、状態のいいほう、勝ち運を持ったキャッチャーを出場させる采配で勝負しようとしているのでしょう。
巨人はやはり小林がカギを握ります。小林が菅野の投球術などを若いピッチャーにうまく伝え、投手陣の底上げができるかどうか。小林が直接ボールを受けなくても、ブルペンで若手に“あの場面でなぜ菅野が打たれなかったか”といった話をするだけで、チームにとっては少しずつプラスになる。小林はボクより人が好さそうだし(苦笑)、阿部監督はそこをうまく使ってチームを底上げしてもらいたいですね」
攻守に秀でた絶対的な正捕手がいない現有戦力で戦いを続ける両監督だが、ペナントを制すためにできる工夫はまだまだありそうだ。
※週刊ポスト2024年8月16・23日号