n番部屋事件の主犯格の一人、チョ・ジュビンは、わいせつ動画の制作・流布のほか、未成年者を脅迫し性的暴行をした罪、金品をだまし取った罪などで懲役42年の判決をうけ、現在服役中(EPA=時事)

n番部屋事件の主犯格の一人、チョ・ジュビンは、わいせつ動画の制作・流布のほか、未成年者を脅迫し性的暴行をした罪、金品をだまし取った罪などで懲役42年の判決をうけ、現在服役中(EPA=時事)

 n番部屋事件では被害者の特定に繋がらないように、正確な被害人数は非公開にされ、具体的な被害内容はあまり公開されていないが、それでも聞こえてくる中身はあまりに酷いものだった。たとえば、未成年を含む複数の女性が性暴行されたりトイレの水を飲まされる様子を撮影した画像や動画があった。さらに悪辣だったのは、それらはいくつかに別れたアプリ内の「部屋」(チャットルーム)で販売されていたことだ。逮捕された首謀者の一人である男は、女性を脅迫していただけでなく、仮想通貨を使ったそれらの映像や写真の売買によって数千万円を稼ぎ出していたとされる。

「勝手に抜き出してきた映像を差し出し…」

 日本国内でも、ここまで大規模ではないものの似たような事例はあった。

 例えば約20年前、日本のネット上で密かな人気を博していたのは「アイコラ」なるものだった。

「アイコラ」は「アイドルコラージュ」の略で、女性アイドルや女性歌手の顔を、アダルト雑誌やヌード写真集から勝手に拝借した写真に貼り付けるというもの。いわゆる「首のすげ替え写真」に過ぎなかったが、パソコンが一般家庭に普及し、画像編集ソフトが出回った時期とも一致し、かなり自然な出来映えであることから、ネット上では有料で取引されることもあった。

 筆者がかつて取材した元「アイコラ職人」という男性は、十数年前にアイコラ写真を作成したことで摘発され書類送検された後、スッパリ業界から足を洗っている。それでも、最近の動向はつぶさにチェックしているという。

「私たちが当時やったことも犯罪ですが、まさか一般人の写真や映像を使ったり、個人情報をばらまくことまではさすがにしませんでした。あくまで、コッソリ楽しむために、そして多少の金儲けのためにやっていたのは事実ですが……。最近では、ダークウェブ上に日本の女子高生や女子大生、さらにはInstagramやTikTokから勝手に抜き出してきた映像を差し出し”これでディープフェイクを作ってくれ”と依頼する者、される者もいる。さらに、Xの公開アカウント上でも、こうした依頼をしている人物がいる。私が言うのはおかしいかもしれませんが、タガが外れたなという感じです」(元アイコラ職人の男性)

 実際にSNSをのぞいてみると、確かに同様の投稿が複数発見された。日本在住の一般女性のSNSから勝手に借用してきたと思われる写真や映像を持ち寄り、そこにわいせつな文言を入れたり、ディープフェイク作成の依頼を行っていた。ひどいものになると、そうした写真を紙に印刷したりして、そこに体液のようなものをかけたような投稿まであり、女性の人権を蹂躙しようとする悪質さが際立つ。

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