初の女性首相誕生となるか(時事通信フォト)
外務省での評判は
胆力を示す一方、パフォーマンスには走らない手堅い実務型の政治家として評価を集め、11日の出馬表明にこぎ着けた上川氏。しかし、同氏に仕える足もとの外務省からは、そうした評価とは異なる手厳しい批判がちらほら……。
「熱心なのは結構だが、上川氏はとにかく細かい。『そんなところまで突っ込んでくるか』というぐらいで、支える側は疲れ切っているのが実情なんです」
そうこぼすのは外務省の中堅官僚だ。この中堅官僚によると、上川氏が外相に就任以降、国会答弁づくりや外遊準備に要する業務量は格段に増加したという。
「今年4月、上川氏が岸田文雄首相とともに訪米した際は、米国のブリンケン国務長官と会食で同席することとなり、その準備作業に上川氏は神経をとがらせたんです。会食に向けて準備した想定問答集は、上川氏の微に入り細を穿つ突っ込みを経て100ページに及ぶ分厚い資料になりました。
しかし、会食で想定問答集が役に立ったのはごく一部で、、事務方の膨大な準備作業は徒労に終わった感が否めないんです……」
歴代、わずか3人しかいない女性外相に名を連ねた上川氏。外務省を「伏魔殿」と称したのは、小泉純一郎政権で女性初の外相を務め、同省に大きな混乱をもたらした田中真紀子氏だ。ある幹部は「『田中真紀子の再来』とまでは言わないが……」と口を濁した。
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自民党総裁選の火蓋が切られた。国民が待望する初の女性首相誕生となるのか。2人の女性候補者について取材した。(後編”高市早苗氏”に続く)