女性として初の総裁戦に出たのは’08年の小池百合子氏(時事通信フォト)
女性に必要な政策がなされていない
田村さんが指摘する通り、世論からも「女性総理」を望む声は小さくない。フリーアナウンサーでジャーナリストの長野智子さんも“女性の台頭”に期待する。
「政府は少子化問題や女性活躍について、それこそ一丁目一番地と掲げながら、女性が共感できる政策が何ひとつまったく進んでいない。ジェンダーギャップ指数は発表されるたびに日本は低位でくすぶっています。国会などで取材していても女性政策が的を射ていないのは、やはり女性議員が少ないからなんですね。衆議院に至っては女性比率が1割ですから。やはり当事者しかわからないことが、理解されていないと思うんです。
経済が停滞し、人口がどんどん減少して、労働力としての女性が必要だという時代にあって、その女性に必要な政策がなされていないという状況はこの国の根幹にかかわる問題です。いま、女性の総理が誕生すれば政策の優先順位も変わってくるでしょうし、閉塞感のある時代が長く続いたこの国を転換するチャンスにもなると思います」
性別役割分担の無意識の思い込みについて考えるきっかけにしてほしいと、日本には存在しない女性総理をテーマにした絵本『はんなちゃんそうり』(三恵社)を執筆した国民民主党の伊藤孝恵参議院議員が続ける。
「少子化と女性の生き方・働き方をリンクさせる政治家は多いですが、そろそろその時代錯誤な認識は改めていただかねばなりません。先日、政府が東京23区に在住・通勤する女性が“移住婚”をしたら60万円支給するとした政策が炎上、撤回されましたが、自民党少子化対策調査会からも“Uターン結婚したら奨学金を3分の1免除。第1子出産で3分の2免除。第2子出産で全額免除”とした提言が出されています。
唖然とします。いまや学生の2人に1人が奨学金を借りており、それらが結婚や出産を躊躇する理由になっているので対策が必要だとする問いの立て方は合っているのに、着地がことごとく浮世離れしてしまう。これを解消できるリーダーが必要です」