スポーツ

“世界一経験者”元レッドソックス岡島秀樹氏が分析する大谷翔平の活躍 「ドジャースだからこそ成し遂げた50-50」

岡島秀樹氏は今季の大谷の活躍をどう見る?

岡島秀樹氏は今季の大谷の活躍をどう見る?

 2009年の松井秀喜以来となるワールドシリーズMVPへの期待が高まる、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平。元ボストン・レッドソックス投手の岡島秀樹氏が、今季の大谷の活躍について分析した。

 * * *
 NPB時代に二刀流の大谷君と対戦経験がありますが、飛距離や打球の速さを見ていると打者に専念すればメジャーでも凄い数字を残すだろうと思っていました。とはいえ、盗塁と本塁打でここまでの数字を残すとは……。これまでメジャーの選手たちができなかった「50-50」という数字を達成したのは素晴らしい。この記録は強打者が揃っているドジャースだからこそ勝負してもらえた結果かなと思います。

 盗塁に関しても、打者に専念することで増えると思っていましたが、メジャーの投手が打者との勝負を優先させることに加え、けん制回数が制限されたことの影響も大きい。イチローさんの時代にこのルールがあれば、もっと走ったでしょうからね。ただ、大谷君にヒットを打たれると盗塁も含めて二塁打を打たれたことになる。投手としては脅威を感じる打者です。

 それでも大谷君を抑える投手はインハイに厳しい球を投げる傾向にある。その後、外角低めに外へ大きく曲がる変化球を投げ、カウントを稼いだり凡打にする。対角線上にコントロールできる投手は打ち取っているが、打者として対戦しないといけないのに投手だという意識で投げるため、インコースを攻めきれていないケースが多い。大谷君が凄いのはその失投を見逃さないところなんです。

 短期決戦のポストシーズンは勢いがあるチームが勝ち上がっていく。勢いをつけ、相手の勢いを止めるために打つべき人が打ち、エース級が抑えないと勝てない。ドジャースのエース不在は投手戦での懸念材料となる。打ち勝つしかない苦しい戦いになるでしょう。

 今季のポストシーズンでは日本人対決が予想されます。2007年のワールドシリーズでロッキーズの(松井)稼頭央君と対戦しましたが、特別な思いはありましたね。勝てば日本人として私や(松坂)大輔君が世界一だし、負ければ稼頭央君が世界一になる。なんともいえない複雑な気持ちでしたが、勝って世界一になると仲間を信じて戦いました。

 ナ・リーグMVPは大谷君だと思います。この勢いのまま、ワールドシリーズMVPまで走ってほしいですね。

【プロフィール】
岡島秀樹(おかじま・ひでき)/1975年、京都府生まれ。ドラフト3位で巨人に入団。独特のノールック投法の左腕投手として、巨人、日本ハム、ソフトバンクで日本一に貢献。2007年にはMLBレッドソックスの一員としてワールドシリーズを制覇した。

取材・文/鵜飼克郎

※週刊ポスト2024年10月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン