国内

【総裁選の内幕】自民党議員にとっての争点は「どの総裁が日本を変えるか」ではなく「議員バッジの確保」だった…石破政権の背後には岸田前首相の影

'08年の総裁選に出馬して以来、「5度目の正直」で総裁の座についた石破氏(時事通信フォト)

2008年の総裁選に出馬して以来、「5度目の正直」で総裁の座についた石破氏(時事通信フォト)

 5度目の挑戦で石破茂氏が勝利を収めた自民党総裁選。有力と目された「史上最年少総理」「初の女性総理」はなぜ実現しなかったのか。揺れ動いた自民党議員たちの動きをたどる。【前後編の後編。前編を読む】

小泉氏の発言が注目されるたびに国民の期待と支持は急降下

 舌戦についていくことすらできず、“メッキがはがれていった”のがほかでもない小泉進次郎氏だ。都内で行われた最初の討論会では、中国に行ったことがあるかと外交姿勢を問う質問に、「台湾には行ったことがある。父が元首相で、(中国には)行くリスクがある。台湾には行ったことがあります。中国には行ったことがない」と回答。

「議員歴15年で一度も中国を訪問していない経験の浅さにも驚きましたが、いま中国と台湾が極めて緊張関係にあるなかであえて台湾に触れる必要があったのか。経験のなさとかばう長老議員もいましたが、党内からはぎょっとするという声もあがったほどです」(全国紙政治部記者)

 また、候補者のひとりである上川陽子氏から来年のカナダ・サミットで首相としてどう臨むかを問われた際の答えはこうだ。

「カナダのトルドー首相が就任した年は43才(現在52才)、私はいま43才です。43才で総理就任というトップ同士が胸襟を開き、新たな未来志向の外交を切り開いていく、新たな新時代の扉を開けることができるG7サミットにしていきたい」

 質問を投げかけた上川氏の困惑した表情とともに、この発言は瞬く間に話題となり、「何を言ってるかわからない」とお茶の間から失笑される事態に。同世代アピールはほかの場面でも。北朝鮮の金正恩総書記との外交について「父親同士が会っている。歴史の中で関係を築いた礎の下に、同世代同士で新たな対話機会を模索する」と、かえって二世ぶりを示すような“お坊ちゃん回答”となってしまった。

 政治アナリストの伊藤惇夫さんは、一連の発言は今回の総裁選を象徴していたと語る。

「総理になったときの外交姿勢を質問されているのに、同い年で総理になったとか、同世代とか、あまりにも些末なこと。父が元首相だから中国に行けなかったというのも理屈になっていない。進次郎氏はどの発言も質問に正面から答えられないからはぐらかしたわけです。これだけを見ても、この政治家に国の将来を任せていいのか不安になりました。

 自民党議員にはその視線が欠けていた。あの討論会を見たら、国会議員たちの間でも進次郎氏への期待と支持が急速に下がるのが当然なのに、そうはならなかった。議員たちはみんな最初から“進次郎氏はあの程度だろう”と未熟さを知っていたからです。それを承知しながら、まだ政治的に未熟な進次郎氏を総裁選に担げば選挙に勝てると思い込んでいた」

関連キーワード

関連記事

トピックス

バラエティー番組『孝太郎&ちさ子 プラチナファミリー 華麗なる一家をのぞき見』
コシノ三姉妹や石原4兄弟にも密着…テレ朝『プラチナファミリー』人気背景を山田美保子さんが分析「マダム世代の大好物をワンプレートにしたかのよう」
女性セブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン