元々は『牛丼太郎』だった店名

元々は『牛丼太郎』だった店名◆撮影/山口比佐夫

地域に愛される店舗に

 かつて、佐藤さんは『丼太郎』のチェーン展開も考えたが、現在目指しているのは“地域に愛される店舗”だ。毎日のように顔を見せる常連客が店を支えているという。

「昔ながらの内装だからか、ドラマなどのロケ撮影の依頼もあります。常連さんから『見たよ』って喜んでもらえるので依頼を受けることもありますが、ロケで店を長時間閉めなければいけないものはお断りしています。常連さんが来てくださった時に食べてもらえないのは、本末転倒ですから」

 また、佐藤さんは「ウーバーイーツ」などのデリバリーサービスの導入も見送っているという。

「ウーバーの方が『一度どうですか?』って来たこともありました。でも、牛丼一杯じゃ割に合わないので、700円や800円のセットにする提案をされたんです。でも、それはうちの目指す方向性とは違うんです」

体が動かなくなるまでやる

 現在の従業員は、全員がベテラン揃い。店を続けていく意思があるか尋ねると、佐藤さんは「体が動かなくなるまでやりますよ」と即答する。

「4人で相談して、最後までやろうって決めました。もともと、僕たちには牛丼しかないんです。“牛丼バカ”4人が集まって、趣味でやってるようなもんなんですよ」

 この記事の場を借りて“後継者を探しましょうか”と尋ねたが、キッパリと断られてしまった。過去には“店を継ぎたい”と、志望者が来たこともあるが、長くは続かなかったそうだ。ビジネスモデル的に儲かる商売ではないから“牛丼バカ”にしか務まらないということか。

 情熱が詰まった一杯は、ここで静かに守られている。

(了。前編を読む

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