国内
小沢一郎「我が政権交代構想」

【政治家として政権交代にこだわる理由】小沢一郎氏インタビュー「政権交代こそ癒着や利権構造を断ち切ることができる一番の政治改革」

野党結集が一向に進まない事情を小沢一郎・衆院議員はどう見る(左から玉木雄一郎氏、野田佳彦氏/時事通信フォト)

野党結集が一向に進まない事情を小沢一郎・衆院議員はどう見る(左から玉木雄一郎氏、野田佳彦氏/時事通信フォト)

 総選挙で自民党が大敗を喫し、与党過半数割れに追い込まれた。にもかかわらず、石破茂・首相は続投。終わりの見えない閉塞感がこの国の政治を覆っているように見える。その光景は、この男の目にはどう映っているのか。政権交代を2度起こした立役者であり、「政界の壊し屋」の異名を持つ小沢一郎・衆院議員(82)だ。“3度目”への道筋があるのか、どう動くつもりなのか、フリージャーナリスト・城本勝氏が問うた。(文中一部敬称略)【全3回の第3回】

嫌われてでも信念を通せ

 野党結集が一向に進まない事情について、野党内からは「そもそも基本政策が一致しないのでは、選挙協力もできない」といった声が根強い。

 そうした声について小沢はこう反駁する。

「『政策の不一致』を理由に各党が協力を拒んでいるが、それはあくまで建前論だ。政治は権力闘争であり、権力を取らない限り、やりたい政策は実現できない。そう言うと『権力亡者だ』と批判されるが、きれいごとばかり言っていても、政権を取らないことには自分たちの主張を実現できない。

 だから政党、政治家は政権を取るということを『いの一番』に考えるべきだと思う。欧州における連立政権を考えてみてもらいたい。多少の政策の違いがあっても右も左もそれぞれ連携して政権を作っている。個別の政策は政権を取ったうえですり合わせればよい」

 政策が一致しなければならない──この言葉が野党の一本化を阻んで、自民党の長期政権を許してきた。そして、それが長期政権の緩みと腐敗を生み出してきた。

「結局、何のために政権交代が必要か、ということがまったく分かっていない。いまの自公政権のように、長期政権になると、いろいろな利権構造が固まって必ず腐敗が進む。原発の問題一つとっても、省庁や電力会社などの企業、学者が利権を通じて裏でしっかり結びついている。

 この癒着を断ち切るには政権を代えるしかない。先ごろ海上自衛隊の癒着疑惑が問題になったが、これも自衛艦などを建造できる企業が限られているからだ。こうした長い時間をかけてできあがった癒着や利権構造を断ち切ることができるのは政権交代だけ。僕は、それを言い続けているのだが、なかなか理解されない。何兆円という予算を無駄に使っているのに、そのことに多くの人が気付かない。政権交代こそ一番の政治改革というのはそういう意味だ。

 しかし、マスコミは『政権交代よりも政策の実現だ』という主張のほうが目立つし、政治家もみんないい子ちゃんばかり。嫌われたくないのだろう。本気で改革をしようとすれば目の敵にされるから。

 明治維新でも西郷隆盛の人気は高かったが、本当の意味で維新が成し遂げられたのは大久保利通の力が断然大きい。だが、国のため徹底して改革を推し進めた大久保は嫌われた。いまの政治の世界に置き換えても同じことだ。人気や評判が良いのはめでたいことだが、時には国家国民のために人から嫌われてでも信念を押し通す政治家が出てこないと大事は成せない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン