TBSテレビのディレクター・藤井健太郎氏(TBS公式サイトより)

TBSテレビのディレクター・藤井健太郎氏(TBS公式サイトより)

「配信再生数トップ」を独走状態 

 藤井さんがかつて手がけた番組に目を向けると、2010~2012年放送の『クイズ☆タレント名鑑』と2016~2017年放送の『クイズ☆スター名鑑』は視聴者評価が高かったにもかかわらず、視聴率の低迷で終了してしまいました。 

 ただ、2020年代に入ると「主に10~40代の個人視聴率がどれくらい取れるか」などの指標が重視され、さらにTVerの配信再生回数も評価対象になるなど状況が一変。特に後者では『水曜日のダウンタウン』が「TVerアワード バラエティ大賞」を3年連続受賞するなど、配信再生の強さは圧倒的であり、藤井さんへの評価を盤石なものにしました。 

 しかし、その間も藤井さんらしい面白さ優先の制作姿勢は変わらず、時代や業界が追いついてきたという感があります。たとえば終了した『クイズ☆タレント名鑑』の中で面白い企画はリニューアルさせつつ別の番組で続けて、「やっぱり面白い」と再評価されていることもその1つでしょう。いずれにしても「いかに視聴者を笑わせるか」という軸は変わらず、それがファンを大切にすることにつながっています。 

 最後に話を『正解は一年後』に戻すと、定番の「今年離婚する芸能人は?」などのクイズから、この番組と知らずに視聴者が参加していた1年がかりの企画まで、今年も笑いと驚きを詰め込んだものになるのでしょう。 

 制作費の削減などから、年末年始ですらレギュラー番組の特番ばかりになり、特にこの時期だけ放送される一年の振り返り特番は激減しました。だからこそ『正解は一年後』の希少価値は増していますが、色気を出して22時台などに繰り上げさせず、深夜帯に留めているところに藤井さんの矜持が感じられます。 

 引いてはそんな藤井さんを認め、一定以上の自由を与えて続けてきたTBSの功績も大きいでしょう。藤井さんは今年7月に部長待遇から局長待遇への昇格が報じられましたが、功績への評価だけでなく、重要な人材を流出させないための人事にも見えました。 

 近年ではDMM TVやAmazon Prime Videoでの配信番組も制作していますが、「表現の幅がせまくなった」「似たようなバラエティばかり」と言われる地上波で藤井さんの番組はやはり貴重。それだけにこの1か月あまりの活躍はファンたちを喜ばせるものだったのです。

【木村隆志】 
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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