芸能

『名探偵津田』『10年観察』に続く『正解は一年後』、テレビディレクター・藤井健太郎氏が支持される背景 

視聴者の支持を集める番組を手がけているTBSテレビのディレクター・藤井健太郎氏(インスタグラムより)

視聴者の支持を集める番組を手がけているTBSテレビのディレクター・藤井健太郎氏(インスタグラムより)

 視聴スタイルの変化や、ネット動画配信サービスの台頭、コンプライアンス重視の傾向が強まるなど、バラエティ番組を取り巻く状況は一変している。そんななかでも多くのヒット企画を連発し、視聴者の支持を集める番組を手がけているのが、TBSテレビのディレクター・藤井健太郎氏だ。なぜ藤井氏は支持を集めるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

 * * * 
12月30日23時40分から『クイズ☆正解は一年後 2024』(TBS系)が放送されます。 

 同番組は「1月に『今年起こりそうなこと』をクイズ形式で予想して収録し、年末の生放送で答え合わせする」という未来予想型の年間振り返り特番。2013年から毎年12月30日の深夜に生放送され続け、1年をかけた時間と手間のかかる企画がウケています。 

「毎年決まった日時に放送される年末特番」「1年間を振り返る年末特番」が壊滅状態の中、『正解は一年後』は「唯一かつ真の年末特番」という声があがるなど、業界内での評価は高まる一方。特に番組を手がける藤井健太郎さんへの称賛が集まっています。 

 その藤井さんは18日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)「名探偵津田」で視聴者からも称賛されたばかり。さらに11月27日にも、田村淳さん、千原ジュニアさん、有吉弘行さんの長期密着ドキュメンタリー『淳×ジュニア×有吉 40歳-50歳~10年観察~』が話題を集めたのも記憶に新しいところです。 

 ドラマの脚本家、演出家、プロデューサーはフィーチャーされやすい一方、バラエティは「誰が作っているか知らない」のが普通の中、藤井さんはその名前で視聴者を集められる唯一無二の存在と言っていいでしょう。では、どんなところが支持されているのでしょうか。 

労を惜しまぬエンタメ至上主義 

 藤井さんが支持を集める最大の理由は、面白さ優先の制作スタンス。 

 番組制作がビジネスである以上、目先の視聴率を取ることを優先するのが当然の中、藤井さんは「より面白いほう」を選択できることが称賛を集めています。実際、「名探偵津田」は1週前の放送でいきなりコーナーがスタート。予告なくはじまったことで視聴者を喜ばせ、さらに2時間スペシャルでたっぷり楽しませました。 

 ドキュメントの『淳×ジュニア×有吉』もギリギリまで予告せず、密かに撮り続けていたことが驚きを呼びましたが、そのエンタメ至上主義を思わせるスタンスが「視聴者ファースト」という印象につながっています。 

 また、「面白さのためなら時間と手間を惜しまない」ところも支持を集める理由の1つ。 

『正解は一年後』も他の作り手ならせいぜい1週間後の未来を予想する程度の番組に留まっていたでしょう。しかし、藤井さんはそれを1年間の振り返り特番で企画し、1年前から収録し続けています。『水曜日のダウンタウン』の「名探偵津田」も複数のロケを惜しまず、たっぷり時間と手間をかけていますし、『淳×ジュニア×有吉』に至っては「10年間に密着する」という先の見えない企画であり、労を惜しまない藤井さんの真骨頂と言っていいでしょう。 

 そしてもう1つ、藤井さんにふれる上で忘れてはいけないのが、苦情を恐れず毒をふんだんに盛り込んだ企画・演出。常に「やりすぎ」「不適切」「いじめ」と紙一重のところまで踏み込んだ企画を選び、演出していて、何度か批判や苦情を受けながらもそのスタンスは変わりません。 

 手がける『水曜日のダウンタウン』『オールスター後夜祭』『クイズ☆正解は一年後』は、いずれも悪意混じりの構成や出演者コメントが目白押し。「これは大丈夫なのか?」と思いながらも笑わせながら見せ続けたことで、すでに「この番組だからいいのかな」という段階に入った感すらあります。 

 もちろん藤井さん自身それを熟知していて、プライム帯の『水曜日のダウンタウン』では「ギャラクシー賞」と「BPOの審議入り」のどちらにも該当しうるような企画を織り交ぜ、深夜帯の生放送である『オールスター後夜祭』『クイズ☆正解は一年後』では大喜利の要素を盛り込むことでほどよく悪意をやわらげています。 

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン