国内

《山口組と阪神・淡路大震災》機関紙で明かされていたボランティアの実態 スローガンは「一人は皆のために 皆は一人のために」 組長自ら救援活動

指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)

六代目山口組の司組長(時事通信フォト)。阪神・淡路大震災では現場で救援活動を行なった

 6400人余りが亡くなった阪神・淡路大震災から30年を迎えた。毎年、神戸市内では追悼行事が催され、犠牲者を偲んでいる。それはこの組織も例外ではない。神戸市内に総本部を置く山口組だ。六代目山口組が発行し、傘下組織に配布している機関紙『山口組新報』ではほぼ毎年、当時を振り返る記事が掲載されている。

 2020年9月号には〈震災と山口組〉というタイトルで、二次団体である岸本組の野元信孝組長の寄稿が掲載されている。

「岸本組は六代目山口組の“最高顧問”を務め、数十年にわたって組織運営に携わった岸本才三(2014年に死去)が立ち上げた歴史のある組織。岸本組も本部が神戸市にあり、阪神・淡路大震災では大きな被害を受けたと言われています」(実話誌記者)

 野元組長は震災直後、荒れ果てた神戸市内を見て〈この未曾有の大災害から立直るのに一体何年かかるのだろうかと考えた〉と回想している。

 阪神・淡路大震災の時、山口組が炊き出しなどボランティア活動を行ない、その義侠心が話題になった。当時、山口組の組長だった渡辺芳則五代目も自ら救援活動に従事し、テレビカメラの取材に対して「人間としてやるべき行為だからね。それだけのことです」と口にした映像を見た記憶がある人もいるだろう。メディアもかつてはこうした活動を報じていた。

 寄稿からはボランティア活動の詳細が窺える。震災直後、山口組総本部は「一人は皆のために 皆は一人のために」という標語を掲げ、救援活動を始めたという。

 まず始めたのは飲料水の提供だった。市内全域で断水するなか、当時、山口組総本部内には井戸があり、それを組み上げて総本部前で配給したという。〈井戸水を配給すると共に握り飯を作り、炊き出しを始め近所の多くの人から喜ばれた〉〈市民からすればありがたい命繋ぐ給水だったと想う〉と回想している。

「その後、全国の傘下組織から物資を乗せたトラックが相次いで到着し、食料品から日用品までまるでスーパーマーケットかというほど物資が豊富だった。配給の時間になると総本部前には行列ができたと記憶している」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

無名の新人候補ながら、東京選挙区で当選を果たしたさや氏(写真撮影:小川裕夫)
参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
セ界を独走する藤川阪神だが…
《セの貯金は独占状態》藤川阪神「セ独走」でも“日本一”はまだ楽観できない 江本孟紀氏、藤田平氏、広澤克実氏の大物OBが指摘する不安要素
週刊ポスト
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン