芸能
吉原花魁の『べらぼう』な世界

大河ドラマ『べらぼう』で元花魁の朝顔役・愛希れいか 演じるうえで意識した話し方「自分の声を何度も録音して聞き返しました」

「松葉屋」の元花魁・朝顔を演じる愛希れいか(右)/大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合日曜夜8時放送中)より

「松葉屋」の元花魁・朝顔を演じる愛希れいか/大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合日曜夜8時放送中)より

 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では、きらめくような美しさの花魁、遊郭を切り盛りする女主人、病に苦しむ底辺の遊女など多様な女性像が描かれる。この華やかさと陰鬱が交錯する世界の実相に触れれば、作品の奥行きをより深く味わえるようになる。

 蔦重と花の井の幼少時代から成長を見守った「松葉屋」の元花魁・朝顔。演じたのは元宝塚トップ娘役を務めた愛希れいかだ。女郎の明暗を体現した難役を振り返った。

 * * *
「朝顔は蔦重の“ミューズ”のような存在です」──朝顔を演じる前の打ち合わせで、演出の大原拓さんが最初におっしゃった言葉です。

 朝顔は蔦屋重三郎の幼少期・柯理時代にとって、とても重要な意味を持つ人物。本の世界の楽しさを蔦重に伝えたことが今後の展開につながってきます。現場でも実際に、柯理とあざみ(花の井の幼少期、前田花)に読み聞かせをしたのですが、ふたりとも元気で、本当にお世話をしているかのような楽しい時間でした。そして病にかかり、花魁から河岸見世の女郎になる苦しい状況でも明るく生きる朝顔の姿は、蔦重や花の井の生き方に大きな影響を与えていきます。

 朝顔は強い女性だったと想像できますが、その強さのなかに、「人生何周目なんだろう?」と思うほどの懐の大きさ、すべてを受け入れた上で明るく生きようとする姿が感じ取れましたし、それがミューズ(女神)という言葉が表わす意味だと考えました。

 この朝顔の大らかさを表現すべく、演じるうえではゆっくりとしたトーンで話すことを心がけました。自分の声を何度も録音して聞き返し、どうすれば「強いけれど柔らかい」声色になるかを個人的に研究しましたね。

 大河ドラマの出演は『青天を衝け』に続き2度目。1度目の出演では、子供の頃の憧れのドラマに出演できることの喜びがありましたし、今回はドラマの第1回という物語の始まりの瞬間に関わることができたので、1度目とは違った特別な感慨深さがありました。

 視聴者の方から「朝顔、もう出てこないの?」と言われたり、「朝顔姉さん」とSNSで呼ばれたりして、朝顔を愛してもらえていると感じる機会があり、役者冥利に尽きますね。

【プロフィール】
愛希れいか(まなき・れいか)/1991年生まれ、福井県出身。宝塚歌劇団月組トップ娘役を経て、テレビ、舞台などで活躍。出演作に大河ドラマ『青天を衝け』など。3月開幕のミュージカル『イリュージョニスト』(東京・日生劇場)に出演予定。

取材・文/上田千春

※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号

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