国内

《性に関するコンプライアンス》「夫婦間の加害」も犯罪、未成年に“面会”“映像送信”を“要求”しただけで処罰の対象…闇に埋もれてきた被害を白日の下に晒す刑法改正

(写真/イメージマート)

その性的関係はコンプラ違反か否か(写真/イメージマート)

 さまざまな場面でコンプライアンスが叫ばれる世の中で、また「新たなコンプライアンス」が追加された。それは何も有名人たちだけの話ではない。その性的関係はコンプラ違反か否か──あなたも決して無関係ではない。

 ここ最近、ニュースの見出しなどに頻繁に躍る「不同意性交」の文字。

 昨年10月には人気お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二(42才)が、ロケバスの車内で2人きりとなった20代の女性に性的暴行を加えたとして、警視庁に書類送検されていたことが報道された。同年7月には、サッカー日本代表に招集されたこともある佐野海舟選手(24才)が、知人男性らとともに都内のホテルで女性に性的暴行を加えたとして警視庁に逮捕された(のちに不起訴処分)。

 ともにかけられた容疑は「不同意性交等罪」だった。同罪は2023年7月の刑法改正で、強制性交等罪や準強制性交等罪を統合する形で新たに創設された罪名だ。

 警察庁の統計によれば、2024年1~10月の不同意性交等罪の認知件数(警察が被害届などを受けて犯罪の発生を把握した件数)は3253件にのぼり、強制性交等罪・準強制性交等罪だった前年同期と比べ1.5倍以上に増えている。

「不同意性交等罪の誕生を機に、性暴力事案が増加しているのには理由がある」

 そう話すのは弁護士で、新著『セックスコンプライアンス』(扶桑社新書)を上梓した加藤博太郎さんだ。

「旧強制性交等罪では、暴行または脅迫による『強制性』や被害者の心神喪失、反抗不能な状況が構成要件として重視されていました。一方で、不同意性交等罪はそれに加えた『睡眠時などの意識不明瞭』や『経済的、社会的関係上の地位に基づく不利益の憂慮』など計8種類の被害・状況が処罰の対象となっています」(加藤さん・以下同)

 さらに性交の定義も刑法改正によって変化している。

「旧強制性交等罪において『性交』とは、腟や肛門への陰茎の挿入でした。しかし、現行法では腟と肛門に指や物を入れる行為に加え、口腔への陰茎の挿入も性交と見なされるようになっています。不同意性交事案が増加している背景には、そうした処罰対象の広範化があるのです」

 性的関係をめぐる法律のアップデートに息苦しさを吐露する声もある。都内在住の会社員Aさん(33才、男性)が言う。

「男が草食化しているといわれて久しいですが、不同意性交等罪ができてからは法的リスクが怖くて恋愛を進展できない。スマホで使える『性的同意アプリ』もありますが、行為のたびにそれを出して相手に操作させるのは現実的じゃないし、雰囲気も何もあったもんじゃないですよ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」