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「人工的な技術で生まれた子を愛せるか分からない」6歳下の夫から出た“生殖医療”への“強い抵抗感”《卵子凍結のリアル「39歳女性と結婚するリスクを分かってない」》

不妊治療では夫婦の話し合いが大切だ(イメージ)

不妊治療では夫婦の話し合いが大切だ(イメージ)

 将来の妊娠・出産に備える卵子凍結だが、実際に凍結卵子を使って出産に至った例は、まだまだ少ない。そうした中、大阪府在住の会社員・倉田佳子さん(仮名・47歳・大阪府出身)は凍結卵子を使った体外受精で子どもを授かり、40歳で出産。産まれた息子は今、小学1年生だという。

 その時点でパートナーはいなかったが卵子凍結に踏み切ったのは、産める可能性を残せるのではないかという思いから。採卵手術は、37~38歳にかけての1年弱の間に3回実施し、合計26個の卵子を凍結。かかった費用は、保管料もあわせて約100万円だった。

 その後、6歳年下の職場の同僚と交際し結婚。凍結卵子を使用しようとしたが、夫からの“予期せぬ反対”にあったのだという──。

 フリーランス記者・松岡かすみ氏の著書『-196℃の願い 卵子凍結を選んだ女性たち』(朝日新聞出版)より、卵子凍結から出産に至るまでの葛藤についてお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第4回。第1回を読む】

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 高齢出産のリスクを考えると、「凍結保存したら安心ではなく、産むのも急がないと」という焦りもあった。結婚を急ぎたい思いもあったが、彼を急かしたくはなかった。約1年の交際を経て、倉田さんは思い切って「結婚してくれる可能性ってあるかな?」と彼に聞いてみた。答えは、「YES」。

 嬉しかったが、彼には40歳手前の女性と結婚することのリスクや、実際に一緒に暮らすことで生じてくる価値観の違いを十分に理解した上で、結婚を決断してほしいと考えた。そこで短期的にアパートを借り、同棲を試みる。一緒に暮らしてみて、彼が「違う」と思うなら、自分から堂々と去ることができるようにしたかったからだ。

 この時、倉田さんが39歳、彼は33歳。彼は「子どもは自然に授かるだろう」と疑っていないところがあり、「ああ、この人は“39歳の女性と結婚することのリスク”を分かってない」と思ったという。

 2人の間で「結婚しようか」という話が出た辺りから、婚姻届の提出を待たずして妊活をスタートしたのは、「この年齢で自然に妊娠するのは難しい」というのを彼に分かってもらうためでもあった。

 市販の排卵チェッカーで排卵日を予測し、タイミング法を数か月間試すところからスタート。「また生理が来たよ。私の歳で自然妊娠するのは難しいことなんよ」と彼に言うことが続く。何度かタイミング法を試してみて妊娠しないのは、倉田さんにとっては折り込み済みの展開だった。年齢に加え、生理不順で基礎体温の高温期が続かないため、受精・着床しづらい状態であることも分かっていたからだ。

 凍結している卵子があることは、交際時から彼に話していた。その卵子を使って、彼の精子と合わせて受精卵をつくり、「体外受精で妊娠するしか方法がないと思う」と、ある時彼に話した。一般的に、タイミング法の次のステップは人工授精になるが、体外受精よりも確率が低いとされている。年齢を考えると「そんなことやってる場合じゃない」と思った。

 ところが、彼の反応はこうだった。

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