生成AIでつくられた勇者になりきったトランプ大統領(ホワイトハウス公式Xより)
王様や教皇、独裁者などに自分を重ねるのがお気に入りらしいドナルド・トランプ米大統領に合わせてなのだろう、ホワイトハウスの公式X(旧Twitter)もAI生成によってコスプレした大統領の画像をたびたび投稿している。臨床心理士の岡村美奈さんが、X投稿からアメリカ合衆国の政権中枢として機能するはずのホワイトハウスで何が起きているかを分析する。
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米国ホワイトハウスが「スター・ウォーズ」の日の5月4日、筋肉ムキムキのトランプ大統領の画像をXに投稿した。映画「スター・ウォーズ」を模してAIで生成されたトランプ大統領の画像には、国鳥であるハクトウワシと国旗を背に、映画に登場する武器”ライトセーバー”を右手で掲げている。剣の色がダークサイド(暗黒面)を信望するダース・ベイダーが使用する赤だったことで、ネットでは「やっぱり悪役か」と話題に。
1月には俳優のシルベスター・スタローンさん、メル・ギブソンさん、ジョン・ボイトさんら3人を「ハリウッド特別大使」に起用し、「米国の映画産業は他国によって壊滅的な打撃を受けている」として、外国で作られた映画すべてに100%の関税を課す方針を示したトランプ大統領。「業界を傷つけたいのではなく、助けたいんだ」と発言していたにも関わらず、ライトセーバーの色はジェダイの騎士アナキン・スカイウォーカーやルーク・スカイウォーカーが持つ青ではなかった。
5月2日、トランプ大統領は自身のSNSにローマ教皇にふんした白い法衣に司教冠を身につけた格好をした画像を投稿。生成AIによる合成画像とみられるが、ホワイトハウスもXでこの投稿を引用。ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が死去したばかりだというのに、教会や信者たちの心情などお構いなしのようだ。大統領は画像がどこから来たものか「まったくわからない」「私は関係ない」と述べていたが、4月29日には記者団に”次の教皇は誰がよいか”と聞かれ、「私がなりたい」と冗談まじりに話していたから、満更でもなかったのだろう。
エンターティメントでも宗教でも、自分がトップに立っていることを強調するためならどんなことでも利用するトランプ大統領の姿勢に、ホワイトハウスは追随している格好だ。