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エステ市場が5年間で1割縮小、活路は男性向け?脱毛サロン倒産にハイフ規制が追い打ち、矢野経済研究所が予測を公表

エステ市場が5年間で1割縮小(写真/イメージマート)

エステ市場が5年間で1割縮小(写真/イメージマート)

 矢野経済研究所は2025年4月23日、エステティックサロン市場が5年連続で縮小しているとの予測を報告した。

 エステ脱毛の経営破たんが続いていることに加え、2024年度は、エステで行われていたHIFU(高強度焦点式超音波治療、ハイフ)が医療機関以外では禁止となったことも影響したと見られる。

HIFUトラブルでエステでの施術が禁止に

 同研究所によれば、2024年度の国内市場は前年度と比べて1.7%減の3043億円で、5年連続のマイナスになったと予測されている。美顔、痩身・ボディ、脱毛などを含む女性向け施術市場は、前年度比2.6%減の1918億円。これは市場全体の6割を占める、全体に与える影響も大きかった。

 冒頭に示した通り、エステ脱毛の運営会社が経営破たんしたことが大きい。ヒフコNEWSでも伝えたが、2023年12月にエステ脱毛大手の銀座カラーの経営破たんがあり、多くの人が施術を受けられず、返金も受けられない事態に陥っていた。さらに2024年11月には業界大手のビー・エスコート運営会社が倒産。東京商工リサーチ集計などによれば、2024年の脱毛サロンの倒産件数は過去最多となった。

 こうした経営破たんの影響に加えて、エステの規制強化も市場にマイナスの影響をもたらしたという。これもヒフコNEWSで伝えているように、2024年4月、厚生労働省がHIFUの施術には医師免許が必要であると通知を出したものだ。これにより、エステでのHIFUは禁止された。

 背景には、HIFUを原因としたヤケドをはじめとしたトラブルが多発している実態があった。2023年3月に国の調査により健康被害の健康被害の実態が確認された。同研究所によると、大手美容ポータルサイトでは2023年12月以降、HIFU関連情報の掲載が禁止された。

 このようにエステ脱毛の経営悪化や国の規制により、特に女性向けエステ市場は縮小した。

 なお、同研究所によると、エステでのHIFUができなくなったことで、美容医療の利用が増える一因になっている。

美意識の向上で男性がエステに

 男性の施術市場は前年比0.6%増の155億円と予測された。女性向けエステと比べると、男性向け市場はわずかながら拡大傾向を維持している。同研究所によると、男性の美容意識の高まりや若年層の利用拡大が背景にある。このほか物販などは0.1%減の970億円だった。

 今後の見通しとして、同研究所は、2025年度の市場規模を前年比0.1%増の3046億円と予測している。女性向けは依然として厳しい状況である一方で、男性向けは引き続き伸びるという状況だ。

 エステに関連して、2025年度になってからも、エステ脱毛大手であるミュゼプラチナムで経営の混乱が伝えられている。エステサロンを取り巻く厳しい状況は、今後も続くと見られる。

参考文献

エステティックサロン市場に関する調査を実施(2025年)|矢野経済研究所

国内エステ市場4年連続で縮小、レディスの施術は苦戦もメンズエステが拡大、矢野経済研究所が報告

エステ市場3年連続縮小、男性市場拡大するも脱毛倒産響く、矢野経済研究所調べ

2024年、脱毛エステ業界の倒産が過去最高に、11月にもビー・エスコート破産手続き開始、東京商工リサーチが年間100件突破の可能性を指摘

エステでのHIFUは法律違反、施術には医師免許が必要、医師の指示を受けた診療補助の看護師は問題なし、厚生労働省が健康被害の増加を受けて通知

エステティックサロンなどでの日本のハイフ関連事故の詳細明らかに、国の消費者安全調査委員会が報告書

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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