中国・寧夏回族自治区石嘴山市の建設が止まった建物(手前)。奥は経営危機が続く不動産開発大手、中国恒大集団が手掛ける高級マンション。2024年7月(時事通信フォト)
そして4月中旬、地元・北海道内のテレビが、ニセコ最大級のホテル建設を進めていたアジア系企業の破産申し立てを一斉に報じたのだった。
商習慣の違い、と言ってしまえば身も蓋もないが、それぞれ、当然事前に契約書を交わしており、先方の契約違反は明らかである。にもかかわらず、先方は「音信不通状態」であり、仮に裁判を起こしたところで、残金が支払われたり、もしくは工事が再開しそうな見込みもない。よって「泣き寝入り」するしかないのが現状だとうなだれる。そしてさらに、中国に泣かされる日本人は増加傾向にある。
中国経済の成長が鈍化したと2010年頃から言われてきたが、そうはいっても全体規模の大きさから急激な悪化の心配はされていなかった。ところが、新型コロナウイルスの世界的流行対策のため政府はゼロコロナ政策をとり、経済活動が大きく制限された。その停滞によって住宅販売が減少、デベロッパーの資金繰り悪化し2021年には最大手の中国恒大集団が総額約3000億ドル(約50兆円)もの負債を抱え債務不履行に陥った。このような情勢で消費者の買い控えがおさまらず、不動産不況が長期化し、中国不動産バブルは崩壊したと言われている。
「中国発の不況の影響は、まだまだ日本には及ばないと思っていたが、今年に入って10組以上、総勢200名のお客さんからドタキャンを食らいましたね」
こう話すのは、東京都内で旅行代理店を営む日本人女性。中国系旅行代理店と提携しており、事業の一環として10年ほど前から現在まで、数千を超える中国人観光客のアテンドに関わっており「バブル状態だった」と振り返る。しかし、その終焉は「いきなり来た」と肩を落とす。
「もちろん、いくらかの前金は受け取っていますが、全て完全キャンセルのため、こちらも準備していた分、数百万円の赤字が出ています。文句を言いたくても、相手は”キャンセル”というばかり。残金も払われないし、訴訟を提起しようと思っても相手は中国にいる中国人。日本の裁判所の命令なんか絶対に聞き入れないでしょう。中国では不動産バブルが弾け、アメリカによる制裁的な高額関税の影響で、仕事を失う人も出てきたようです。中国国内でもトラブルになっているのですから、我々はすでに蚊帳の外。こちらが泣くしかありません」(旅行代理店経営者の女性)