事務所に入ったばかりの山田(事務所提供)
「ここの暮らしは手放せない」
——まりやさんは離婚についても考えていると言っていましたが、それについては?
「まあ、息子のことが一番ですよね。それに、離婚するのも手続きが大変じゃないですか。だから、このままお互いがやりたいことをやって暮らすのもいいんじゃないかと。それで、息子が成人するときに、改めて夫婦としてどうしていくかを考えられたらと私は思っています。
妻も母や弟がおり面倒を見ていますし、私にも高齢の父がいる。お互いの家族の世話のことなども考えると、支障なく協力できる今の関係が一番いいのかなと思いますよ」
そう語る草野の口調は、どこか吹っ切れたような明るさがあった。家の近くでは家庭菜園で無農薬野菜を作り、自給自足を目指しているという。
「まだ数か月ですけど、この生活は性にあっている。ここの暮らしは手放せないですよ。そうだ、どうせここにきたんだから、最近できた近くの大きなコストコに寄っていってください」
すっかり地元民の顔つきで、記者に終始笑顔で対応した草野。山田も草野もそれぞれが等身大で自分の夢や生活と向き合い、新しい「家族の形」を模索していたのだった。
(了。第1回から読む)