群馬県草津町の黒岩信忠町長、町長からわいせつ被害を受けたという嘘の告訴をした元町議の新井祥子被告
群馬県草津町の黒岩信忠町長(78)と肉体関係があったと嘘の証言をした電子書籍で町長の名誉を傷つけたほか、町長からわいせつ被害を受けたという嘘の告訴をしたとして名誉毀損と虚偽告訴の罪に問われている元町議の新井祥子被告(56)に対する刑事裁判が前橋地裁(山下博司裁判長)で続いている。
群馬県有数の温泉街が混乱の渦に巻き込まれることになったのは、2019年11月に新井被告が「町長室で町長と肉体関係を持った」などと告白した電子書籍が世に出たことからだった。のちに町は「セカンドレイプの町」と批判され、町長にも疑惑の目が向けられた。しかし、電子書籍執筆者の刑事裁判や、町長が新井被告らを訴えた民事裁判では「肉体関係はなかった」と結論づけられている。
にもかかわらず5月15日に行なわれた被告人質問で新井被告は、虚偽告訴については認める一方、あらためて「町長からわいせつ行為があった」という主張を繰り広げた。
新井被告の刑事裁判は裁判所の警備が厳重だ。傍聴人は手荷物を預け、ボティチェックを受けたうえで、ようやく法廷に入ることができる。この日も同様だった。加えて開廷直後に裁判長が傍聴人に対して「開廷中はお静かに願います」と呼びかけた。昨年12月の初公判の際、閉廷後に傍聴席から「新井! 嘘つき!」といった声が聞こえたことと無関係ではないだろう。
新井被告が「町長と町長室で肉体関係を持った」と告白した、問題の電子書籍『草津温泉 漆黒の闇5』は、フリーライター飯塚玲児氏により2019年11月に発表された。しかし新井被告の告白が虚偽であったことが、のちに飯塚氏の刑事裁判で判明する。新井氏が「肉体関係を持った」と主張していたのは、2015年1月8日午前10時からの町長室での面会でのこと。その一部始終を新井被告が録音していたことが捜査の過程で判明し、2023年2月、名誉毀損罪で在宅起訴された飯塚氏の初公判で、音声データが再生された。そこには性暴力をうかがわせるような音声は一切認められなかった。
さらに、町長が新井被告らを相手取って起こした損害賠償請求訴訟の本人尋問において新井被告自身が「肉体関係はなかった」旨を認めた。この民事裁判は昨年11月26日、新井氏に165万円の支払いを命じた判決が確定している。