2ndデジタルシングル『つまり』でセンターを務める綾瀬
笹も自前で用意した七夕イベント
きっと夢に近づいているはず──。そう信じて活動を始めるも、“FINALIST”としての下積みは甘くはなかった。同期だった『WHITE SCORPION』が先輩アイドルとしてキラキラ輝く背中を間近に見つめながら、ダンスやボーカルのレッスンに汗を流す日々。合格者との差は歴然だった。
「“FINALIST”の活動は『WHITE SCORPION』さんのリリースイベントに出させてもらうとか、ライブ後にちょっとトークショーをさせてもらうとか、私たちが主体ではなくて。持ち歌もなかったのでステージに上がってもトークをしたり、デート服を披露したりするしかなかったんです。衣装はなく、それぞれ私服で出ていました」(綾瀬)
トークショーといっても彼女たちに台本は準備されていなかった。
「時間が与えられて自分たちで考えてやってね、というスタイルだったんです。でもトークだけだと、どんどんお客さんが帰ってしまう。なんとか足を止めてもらおうと、企画を考えるようになったんです。七夕のイベントで浴衣を着て会場の皆さんに願い事を書いてもらった時には、笹も自前で用意して(笑)。デビューを期待しては失望して、つらい時期もたくさんありました。でも、そんな私たちを見てファンになってくださった方々もいるので、意味のある時間だったと今は思っています」(新野)
つらい、とはっきり口には出すが、遠藤も「用意された道がなかったおかげで、自分たちで切り拓いていこうと17人の絆も深まった。現実的な目標を立てて実現するにはどうしたらいいだろうと、全員の意識や行動も変わったんじゃないかなと思います」と、感謝を語る。
ようやくオリジナル楽曲『命しか捧げるものがない』が届いたのは、1年近く経った昨夏のこと。そして10月の記者発表を経て、2025年1月に『I L U』でメジャーデビューを果たした。
『Rain Tree』はリリースごとにメイン楽曲のメンバーを選考するセレクション制度を取り入れ、活動のコンセプトに“進化・変化・成長”を掲げる。今回は『つまり』とカップリング曲『3秒ルール』にメンバーが振り分けられている。現在のところ、全員で披露する楽曲はFINALIST名義の『命しか捧げるものがない』のみ。だからこそ、彼女たちは「17人」であることに、こだわる。
「近い目標として、まずは1周年ライブをZepp で実現したい。最終的には『Rain Tree』で東京ドーム公演ができたらいいな。メンバー全員でステージに立ちたいです! 絶対に叶えたい、みんなの目標です」(遠藤)
17人の心をひとつに、彼女たちは夢の舞台へ向けて走り出していく。
取材・文/渡部美也 撮影/黒石あみ
◆プロフィール
Rain Tree(れいん・つりー)/2025年1月にメジャーデビューした、秋元康総合プロデュースの17人組ガールズグループ。オーディション落選者で構成された。メンバーに朝宮日向、綾瀬ことり、市原紬希、遠藤莉乃、片瀬真花、加藤柊、黒澤禾恋、佐藤莉華、鈴野みお、永瀬真梨、仲俣美希、新野楓果、橋本真希、葉山莉瑚、水野乃愛、百瀬紗菜、吉川海未。5月28日に2ndデジタルシングル『つまり』を配信リリース。6月28日には2nd Digital Single EXTRA Song『恋愛変格活用』のリリースを控える。