これまで3000件以上のトラブルを担当し、多くのナイトビジネス経営者を顧問弁護士として支えてきた若林翔氏
制限をすり抜けて営業する“脱法メンエス”の存在
では昨今、新宿・歌舞伎町を含む繁華街で猛威を振るっているメンズエステ(以下、メンエス)はどうだろうか。
メンエスの中には、アロマテラピーや凝りをほぐすオイルマッサージなどだけを行う純然たるエステがある一方、女性セラピストがマイクロビキニなどを着用し、性的サービスを提供するものも多数存在している。そういった店は、店舗型の性風俗店の制限をすり抜けて営業している。
風営法は、店舗型の性風俗店について「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」と定めている。その定めからすれば、前述したような性的なサービスはもちろん、過激な衣装などを着用し、男性客の鼠蹊部などをマッサージするような店も、「性的好奇心に応じてその客に接触する役務」を提供していると判断されるだろう。
健全なエステという建前で営業している以上、認められていない地域でそういった行為をした場合には、「店舗型の性風俗店の営業ができない地域で営業した」として「禁止区域営業」で摘発される。
近年、メンエスの摘発が増えており、風営法の改正後に罰則が強化されるのは、そのような背景からだ。メンエスでも無許可営業の罰金は最大3億円になる。
なお、メンエスを謳っていても、無店舗型であり、「無店舗型性風俗特殊営業」の届出をして営業するいわゆる「風エス(風俗エステ)」は適法だ。