「プレイヤーもスタッフさんも、ちゃんと人権を持てる世界になったらいいなとは思います。」
芸能界は「変わった」のか、「変わらない」のか
──芸能活動を休止していましたが、なぜ今、また再開を?
知り合いの紹介で、2023年公開の映画『本を綴る』で久しぶりにお芝居をしたのですが、制作の人たちと議論を重ねて、演じたいものや演じたいことを、演じたいように演じさせてもらえて。
特に子役時代は、「言われたことをやる」という風潮が強かったので、意見を交わしながらつくる楽しさをもっと味わいたいなと。
──子役デビューが2011年、活動休止が2019年。今の渡邉さんから見て、芸能界は「変わり」ましたか。
社会って、人が入れ替わるから、少しずつ変わっていくんですよね。会社も、お客さんと関わっていくなかで違う風が吹く。でも業界となると、だんだん変わってきているとは思いますけど、変わるのが遅い方だと思います。
──変わってほしい部分って、ありますか。
演じる側も作る側も、誰もが尊重され、安心して仕事に取り組める環境がもっと広がるといいな、と心から願っています。私自身、子役時代には、無邪気さゆえに深く考えていなかったけれど、今振り返ると少し心がチクッとした経験もゼロではありませんでした。だからこそ、未来の子供たちがのびのびと、そして健やかに活動できるような環境づくりに、少しでも思いが向けられたら嬉しいです。
──子役が自分の意見を言いづらくなるのは、どんな時だと感じますか?
子供の頃は、周りの大人の言うことを素直に聞くことが大切だと教えられてきましたし、それが当たり前だと思っていました。だから、お仕事に対しても『なぜ?』と深く考えるよりも、まずは一生懸命応えようとしていたように思います。それが時には、疑問を感じても口に出しにくい雰囲気につながることもあったのかもしれませんね。