SNSで知り合った“女性社長”に誘われて投資したが……(写真提供/イメージマート)
「友人のお父さんは、スマホを買ってSNSを始めた直後から、女性らしきユーザーから受け取ったDM全てに返信を返していたそうです。やりとりの中で、海外在住の会社経営者だと称する美女から”投資”に誘われ、その支払いとしてクレカ決済やプリペイドカード購入をすすめられ、すでに300万円以上を入金してしまっていました。僕の指摘で初めてわかったと友達からは感謝されましたが、すっきりしないものを見つけてしまったという気持ちは今も続いています」(公務員男性)
被害はこれだけで終わらなかった。様々な落ち度を指摘された知人の父親は、やりとりしていた女性経営者が実在しないこと、そもそも何もかもが「詐欺」であったと知らされて以降、体調を崩し、人前に出てくることが少なくなったという。入れ込んでいた女性の存在が架空だっただけでは、ここまで落ち込みは継続しなかっただろう。相手にあわせて居住地や学齢、勤務先などの詳細な偽のプロフィールを公開していたことが、彼の不安をかき立て続けたのだ。自身の詳細な経歴、自宅の特定がされかねない、自宅前で撮影された写真や動画までSNSに記載していたため、別の特殊詐欺事件のターゲットになるのではないかと、彼の家族も不安に苛まれている。
SNSであまりに都合よく接触してくるユーザーは詐欺師だらけ、というのは、一般的なネットユーザーなら当たり前の感覚だ。だが、ネットに不慣れな高齢者や世間知らずな子供、認知機能が限定的だったりする人々にとっては、こうした当たり前の感覚に従ってトラブル回避するのは困難である。社会的に弱い立場の人々を堂々と狙い撃ちにするようなことは、犯罪や悪質行為を繰り返す人たちでも躊躇するものだと言われてきたし、本当はターゲットにしていても露呈しないよう取り繕ったものだ。ところが、冒頭で挙げた障害者向けマッチングアプリを悪用した犯罪など、身も蓋もない悪事が横行している。もはや、この国の社会は、底が抜けてしまったのだろうか。