草野刑事を演じた倉田保昭(左)と響刑事役の藤田三保子が当時を振り返る(撮影/横田紋子)
1975年5月にスタートした刑事ドラマの金字塔『Gメン’75』(TBS系)は7年間で355話が放送され、最高視聴率32.2%を記録した。「Gメン」とは「ガバメントメン」の略で、FBI捜査官を指す俗語。ドラマでは、警視庁から独立した特別潜入捜査官を指す。指揮官・黒木警視役の丹波哲郎を筆頭に、原田大二郎、倉田保昭、岡本富士太、藤田美保子(現・三保子)、藤木悠、夏木陽介が初期メンバーとして活躍した。
重厚な物語に加え、国内外で敢行した大規模なロケや本格アクションで、他の刑事ドラマと一線を画した。深作欣二、佐藤純彌が監督・構成として名を連ね、劇場映画に匹敵する迫力を演出。メンバーが横一列に滑走路を歩くオープニングは今なお語り継がれる。
草野刑事を演じた倉田保昭と響刑事役の藤田三保子が当時を振り返る。
* * *
藤田:『Gメン’75』のオファーは、海外ロケからの帰国直後に伝えられました。そのまま初回放送2週間前の5月10日頃に撮影に入ったので、本当に直前のことでした。
倉田:私はGメンの前番組『バーディー大作戦』に出演していて、東映の近藤照男プロデューサーから「次の番組も倉田君に頼むよ」と声をかけていただいて。内容は知らされていませんでしたが、近藤さんについて行きます、という気持ちでした。つなぎの番組で、噂では19話で終わる予定だったらしく、それだけに短期間で結果が求められ、スタッフは気合いを入れていました。
藤田:本当にわけもわからず飛び込んだ感じ。「ガバメントメン」と説明されても、「そうですか」としか言いようがありませんでした(笑)。
倉田:近藤さんは役者にあれこれ説明するタイプではなかったからね。
藤田:スケジュールは本当にタイトでした。2班で2本を並行して撮影していました。A班の撮影が24時まであり、B班の撮影が翌朝7時に新宿スバルビル前に集合。帰って寝てまたすぐ撮影、という毎日でした。
倉田:家族よりGメンのメンバーといる時間のほうが長かったんじゃないかな。毎日20時間ぐらい一緒だったんじゃない?
藤田:オールロケですよ。
倉田:ロケ地は1日約20か所。男性俳優は自分の車を運転して移動していた。僕はベンツや真っ赤なポルシェでね(笑)。