パニック障害は信頼できるカウンセラーと出会い快方に向かった
現役時代、苦しんだパニック障害は離婚後、信頼できるカウンセラーと出会い快方に向かった。40歳を過ぎると、それまで避けてきた高速道路も、電車もバスも飛行機も、エレベーターも大丈夫になった。芸能活動がイヤな思い出でないのなら、引退を撤回し戻ってくる道もあったのではないだろうか。
「いえ、引退前、私の能力ではもう限界だと思っていました。上を見ればすごい才能のある方ばかりで、私はとてもあそこへは行けない、これ以上がんばれない……と感じていました。だから、引退したことに後悔もなければ、今もう一度、という気持ちも全然ありません。いいお仕事をたくさんさせていただき、満足しています。10年間、濃い活動をし、きちんと線引きして引退したので、気持ちが切り替わりました」
今はいち視聴者、観客として芸能を外からみて楽しんでいる。
「テレビをつけると、島崎和歌子さん、モト冬樹さん、中山秀征さん……当時仲良くしてもらって共演した方々が、今も活躍しています。がんばっているんだな、スゴイな、と思って見ていますが、私にはもう他人事の世界。最近はちゃんとお金を払って、劇団四季のミュージカルや、いろんなアーティストのライブを観に行ったり。そんなことも楽しみのひとつです(笑)」
こう言って爽やかに笑う立河さんの生き方は潔く、芸能人の第二の人生の“お手本“のひとつかもしれない。
(了。前編から読む)
取材・文/中野裕子 撮影/岩松喜平