警視庁が取り調べ時の録画を公開(ロンドン警察庁HPより)
陪審員も同様して涙…卑劣な証拠動画
「映像の中には、鄒被告が女性にアルコールを飲み干すよう強要する場面や、女性が意識を保とうとしながら『Stop(やめて)』と抵抗するシーンなどが収められていました。しかし、女性の抵抗もむなしく、その次には裸の状態でベッドに横たわった女性が映され、鄒被告が動かなくなった女性を撮ろうとカメラの位置を調整する様子まで残っていました。
あまりに卑劣な手口に陪審員らは動揺し、涙を流す人もいましたが、鄒被告は無表情に被告席に座っているだけでした」(同前)
鄒被告は中国広東省東莞市の出身で、父親は同省の大企業役員かつ共産党幹部とされる。逮捕時はロンドンの名門『ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)』博士課程の学生で、月の家賃が4000ポンド(約80万円)の高層マンションに住んでいた。
犯行時、鄒被告は女性にアルコールを強要するだけでなく、アルコールに「レイプドラッグ」を混入し、意識を失わせていた。また、「戦利品」として靴下やヘアゴムなど女性の持ち物を保管していたことも、被害者の処罰感情を強めている。
判決でロジーナ・コテージ判事は、「被告は知的な若者で人を操ることに長けているが、『同意』という言葉の意味をまったく理解していない。チャーミングな仮面を被ったセクシャルプレデター(性的捕食者)だ」と非難した。
その上で、「『やめて』と懇願されても女性を自らの支配下に置こうとし、欲望のままに女性を性的おもちゃのように扱った。被告の歪んだ考え方は高い危険性を示しており、あなたは期間の定めなくリスクだ」と断罪した。
「最短でも禁錮24年の服役という条件付きとはいえ、死刑のない英国での終身刑は重大な殺人事件の判決と同じような重さです。禁錮が最短期間で済むケースも少ないので、服役はかなり長期化するでしょう。それだけ被告の行為がひどいものだと司法も判断したということだと思います」(前出・国際部記者)
数々の女性たちを深く傷つけた“セクシャルプレデター”は塀の中で何を思うのだろうか。