思い切って日傘を導入したのは成功だった(写真提供/イメージマート)
埼玉県が2019年行った簡易アンケートによると、日傘使用経験がある男性は13%、女性は88%だった。それから6年、関東地方では梅雨も明け、男性の日傘経験者は目に見えて増えている。とかく女性向けとされてきた日傘、ハンディ扇風機の導入によって目覚めた男性たちについて、ライターの宮添優氏がレポートする。
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「もう恥ずかしい気持ちは無くなりました。かなり快適。社内の同じチームの仲間は全員日傘を愛用しています」
手元の温度計が35度超えたその場所は、大都会のど真ん中、東京・渋谷駅前のスクランブル交差点。直射日光をもろに浴びながら交差点に目をやると、日傘を差す女性が多い土地柄もあるのだろう、まるで雨の日のように傘を差した人が行き交っている。そんな光景を眺めながら、時折嬉しそうに「ほら、あの日傘も男性」と声を上げるのは、都内在住で住宅販売会社勤務の営業マンの男性(40代)だ。
「この数年の夏の暑さは殺人的です。営業で外回りが多く、本当に参っていました。自宅から最寄り駅まで15分歩くうちに汗だく、そのまま電車にも乗るのも気が引けて、駅のトイレで15分、汗を拭いたりインナーシャツを着替えるなどして体温を下げないとどうしようもない。クールダウン系のスプレーなどは、7~8月だけで2万円分くらい買っていました」(営業マンの男性)
男性は比較的ふくよかな体型だ。確かに、近年の人の体温を超えるのが当たり前となった暑さは、耐え難いものがあるだろうと察する。暑さが辛い、そんな時、あまりに汗だくな男性を見かねた取引先の女性が、日傘を勧めてくれたという。
「まあ見苦しかったんでしょう(笑)。通勤時に日陰を選ぶように歩いてない?と言われて、めちゃくちゃ納得しました。日傘なんかダサいと思ってましたけど、最近はかっこいいのもありますよって逆営業されて。あともう一つ、薄毛なんで髪が濡れると、頭皮が気になってしょうがない。これがつらい」(営業マンの男性)
すぐさま百貨店に向かうと、その品揃えにも驚いたという。
「日傘っていうと女性っぽいフリルのついたようなものをイメージしてましたが、普通の傘のような見た目で、UVカットなど、直射日光を防げるタイプのものがたくさんあり、悩むほどでした。売り場には、私と同い年くらいの男性も何人かいて、お互いに”こいつも買うのか”という雰囲気でした。しかし、買って使ってみて、本当に良かった。劇的に涼しい。これは、声を大にして言いたい」(営業マンの男性)