スポーツ

《高校野球で発生する悪質ヤジ問題》酒を飲んで「かませー」「殺せ」と声を上げる客 審判がSNSで写真さらされ誹謗中傷を受ける被害も

高校野球で定められている応援スタイルについての指導指針は競技関係者と学校関係者を対象としたもので、一般のファンは想定していない(写真提供/イメージマート)

高校野球で定められている応援スタイルについての指導指針は競技関係者と学校関係者を対象としたもので、一般のファンは想定していない(写真提供/イメージマート)

 昨年、プロ野球の阪神タイガース公式SNSが、一部のファンによる「ヤジ」に注意をよびかける動画を公開して話題になった。相手球団に「くたばれ」などと叫ぶヤジがお馴染みだが、相手を貶めるような言葉を投げつけるのは、お互いによいことはないと改めるようになってきた。その一方で、清く・正しく・美しくを信条とするはずの高校野球で、球場だけでなくSNSも巻き込んだ凄惨な空間が発生していた。ライターの宮添優氏が、一部のファンによる悪質ヤジ、審判への個人攻撃被害についてレポートする。

 * * *
 灼熱の太陽の下での長時間プレーによる選手たちへの悪影響が問題視され「7イニング短縮論」が飛び出したり、競技人口減少の影響からか、部員が足りない学校同士が集まった「連合チーム」が増加傾向にあるなど、様々な面で転換期を迎えている高校野球。運営面での議論は様々あるが、子供達のハツラツとしたプレーは現代も変わらず健在で、すでに開催中の地方大会から大熱戦、大激戦が繰り広げられ、見る者に大きな感動を与えている。だが、そんな感動の現場、そしてSNS上には、青春の清々しい空気を台無しにする、迷惑な人たちがいると言う。

「本当は生徒応援席の近くに行きたかったんですが、満席で仕方なく離れた席に。でも、その席は始まった瞬間からうるさい人が何人もいました。お酒も飲んでました。かませーとか、殺せってのもあった。選手に聞こえていたら嫌だろうし、周りも私たちも引いてました」

 近畿地方、某県在住の会社員の女性(20代)は、SNSで見かけた公立X高校野球部の球児の姿や、同校の応援スタイルに感激し、友人と共に球場を訪れたという。しかし、応援団に近い席はすでに満席。そのため、比較的空いていた、応援席から少し離れた席に腰を下ろした。ところが、すぐ近くにいたX高校の帽子とTシャツを着用した、中高年のベテラン応援グループから発せられる、信じられないような罵詈雑言のせいで、野球をまったく楽しめなかったと嘆く。

「周りの人達とも”怖い”と話していたんですが、近くにいた同じベテランファンの人たちによると、あのおじさん達も長年のファンらしく、練習試合まで追っかけるような筋金入りだとか。ただし口が悪く、特に夏の大会は、球場で酒を飲んでヤジを飛ばしまくり。X高が不利になると、相手高校批判だけじゃなく審判批判もすごかった」(会社員の女性)

 もちろん、こうした迷惑な人たちは、学校などの公認を受けない「勝手応援団」であるから、学校や選手にとっても迷惑この上ない。さらに、女性がいう「審判批判」も、近年は「単なるヤジ」では済ませられないほど深刻な問題が発生している。

関連記事

トピックス

詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
告示日前、安野貴博氏(左)と峰島侑也氏(右)が新宿駅前で実施した街頭演説(2025年6月写真撮影:小川裕夫)
《たった一言で会場の空気を一変》「チームみらい」の躍進を支えた安野貴博氏の妻 演説会では会場後方から急にマイクを握り「チームみらいの欠点は…」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン