被告が侵入した形跡
〈お前まじ覚えとけよあんなことさせといてあいつと付き合うなんて、絶対に許さないからな〉(原文ママ)
岡崎さんに送られた“脅し”の一文。メッセージは白井被告が送ったものなのだろうか──。そうであれば、このときからすでに被告の心に“殺意”が芽生えていたのかもしれない。
岡崎さんはほかにも、バイト終わりに〈しらいまたいた〉(12月20日6時57分)などと友人に連絡しており、男が付きまとっていることを認識していた。そしてこの約20分後、9時間近くにわたり音信不通になる。
岡崎さんがさらわれたとみられる時間帯の直前まで一緒にいたという祖母が、当時の状況を明かす。
被告の執拗なストーカー行為「家の窓ガラスに耳を当てて…」
「あの日の前日、彩咲陽はうちのスナックで働いていました。出勤の途中で、すでに白井が店の周りをウロウロしているのを発見していましたから、21時頃にも緊急用に知らされていた警察官のケータイに直接通報したし、ずっと『怖い』と言っていたの。お店を出たのが12月20日の朝7時5分くらいで、その直後にも帰りの車内で警察に連絡しています。
自宅に到着したのは、それからすぐでしたが、そのときは白井の姿はなく、2人で家に入った。いつも彩咲陽は、私と息子がいる家の3階で寝るんですが、その日に限って、友達とLINEするからって2階にいたんです。怪しい物音や叫び声は一切聞こえなかったわ」
祖母が気づいた頃には、すでに岡崎さんの姿は部屋になく、自宅の玄関ドアが開きっぱなしになっていた。真冬にもかかわらず靴や上着は自宅に残されたままで、1階の窓ガラスは割られた状態になっていたという。岡崎さんのバイト先の飲食店で取材に応じた、祖母の姉もこう証言する。
「駆けつけた警察は、割られたガラス窓をみるやいなや、『これは外からではなく、中から割ったはずだ』と言いました。部屋の中の確認も一切せずに、帰っていきましたからね。本当にふざけています。床には男性らしき足跡、壁には大きな手形もあって、明らかに外から人が侵入した形跡があったんですよ。金槌も落ちていました。それなのに警察は『事件性はない』の一言。こんな不条理なことがありますか。
そんな状況だったから、現場の写真は自分らで撮っておきました。そのあとも現場に来てほしいと何回も訴え続けたの。それでようやく刑事課強行犯係の刑事さんが来て、現場を見たときに『これはやばい!』となったんです」
当時、撮影された写真からは、確かに足跡や手形と思われる汚れが確認できる。親族たちはこの痕跡を見て、「あいつ(白井被告)にやられた」と確信したのだ。
すでに報じているとおり、昨年10月以降、白井被告は岡崎さんに対してストーカー行為を繰り返していた。つきまといは日を追うごとにエスカレートし、自宅や職場にも姿を現すことがあったという。身を案じた家族は、岡崎さんを祖母の家に一時的に避難させていたが、男は以前からこの家を訪れることがあった。