夏休みといえば宿題がつきもの(写真/イメージマート)
「昆虫採集セット」を語ることでさまざまな効果が期待できる
ほぼ男子限定ではありますが、昭和の夏休みに欠かせないアイテムだったのが「昆虫採集セット」です。本物(?)の注射器が入っていたことといい、赤と緑の謎の液体が何の説明もなく入っていたことといい、極めて昭和っぽい大らかな商品でした。
昭和の子どもは、「赤」が殺虫液で「緑」が保存液だと認識していましたが、今考えると数百円のセットにちゃんとした薬剤が入っているとは思えません。おそらく、単に着色されただけの液体だったのではないでしょうか。しかし当時は、それぞれの効果を信じて、採ってきたカブトムシや蝶々に注射して標本を作ったものです。
それぞれの「昆虫採集セット体験」を語り合って、子どもの頃の己の残酷さを思い出すもよし。あれが堂々と売られていた昭和の大らかさと、いつの間にか店頭から消えたらしい昨今の世相とを比較して、何か意味を見出したような気になるもよし。思い出話という注射の効果で、無意識のうちにコンプライアンスにがんじがらめになっている自分の意識を弛緩することができるかもしれません。
「宿題(自由研究)」も、語りがいのあるテーマ。何はさておき「早めに片付ける派」だったか「ギリギリまで手を付けない派」だったかの告白は欠かせません。当時の傾向と今の仕事の進め方との共通点を見出すことで、有意義な反省をしたつもりになれるでしょう。たいていは「三つ子の魂百まで」で、反省して傾向が変わることはないんですけど。
見逃せないポイントは「今は夏休みの最終日が8月31日とは限らない」という点。昔から、北海道や東北では夏休みが短くて8月下旬に二学期が始まるらしいという話はありました。最近は全国的に、8月31日よりも何日か早めに夏休みが終わってしまう学校のほうが多いようです。いやまあ、大人にはあんまり関係ない話ですね。
「夏祭り」の思い出は、小中学校よりも高校あたりがメインでしょうか。思いを寄せる異性を盆踊りに誘ったり、お祭りで初恋の人が知らない異性と歩いているのを見てショックを受けたりなど、甘酸っぱい記憶をたっぷり掘り起こしたいところ。その手の記憶がまったくない場合は、金魚すくいや射的の話で手堅く懐かしさを感じましょう。
今の季節ならではの楽しみを見つけるのは、大人のたしなみ。こうしたポイントを抑えつつ、この夏は例年以上に積極的に「昭和の夏休みの思い出」を語ってみるのもオツです。ただし、相手は同年代に限定したほうがいいでしょう。若い世代にダラダラ語ると、いつも以上に「暑苦しい人」になってしいます。