昨年福島県のとある自宅に侵入したクマ。周囲の物が散乱している(2024年12月)
観光客の軽率な行動が事故を招く可能性
羅臼岳の事故について、砂川支部長は厳しい口調で切り出した。
「羅臼の件ね、もう少し早く(出没していた個体を)処理すればこの事件は起きなかったと思います。車から餌をあげたというのは良くないですね。地元の人は絶対にやらない行為です。観光客がやってしまうんですよね」
支部長は、クマの生息域に入ることへも警鐘を鳴らす。その対比として挙げたのが、北海道の電力会社が行っている徹底した安全対策だ。
「北海道電力さんって、送電線の下に行く時はクマ対策で必ずハンターを付けるんですよ。ルールで決まっていると聞きました。つまりクマが出るという前提で行く訳です。私から見たら、(一般の)登山客は勇気があるというか、無謀だなと思ってしまいます。鉄砲なしで山の中に行くのかという話です」
日当8000円、「人のため、自己のため」でも限界
危険なクマの駆除活動だが、担い手であるハンターの待遇は驚くほど厳しいという。
「(日当は)1万も出ないよ。8000円とかだよ。一日動いてもガソリン代にもならないという時だってあります。ハンターには(労災などの)保証もありませんから。多くのハンターは、半ば人の為、半ば自己の為という理念でやっています」