秋田で出没したクマを駆除作業する様子
さらにハンターを追い詰めるのが、司法のリスクだ。支部長自身、2018年に砂川市の要請でヒグマ駆除に出動した際、住宅方向に発砲したとして猟銃の所持許可を取り消されている。この処分を不服として起こした裁判は2審で敗訴し、原告側(支部長)が上告。現在も最高裁で係争中である。
最後に、支部長は私たちがヒグマに遭遇した際の具体的な対処法に教えてくれた。
「ヒグマは『おーい』と言ってはいけません。ヒグマは『おーい』という声をだしますから。逆に来ちゃうんですよ。だから、『いなくなれー』とか人間の言葉で追い払わなくてはいけません。花火や車のクラクションなど、大きな音で驚かす行為も絶対にNGだと若手や警察に教えています。昔(クラクションを鳴らしたら)、運転席の窓を割って、運転手を引きずり出して殺した事もありました。パニックにさせて追っ払っても、そのクマの行動が予測できませんから。
ヒグマを興奮させず、パニックに陥らせないこと。静かにヒグマの行く方向を見定め、自然に帰っていただくのが重要です」
クマとの共存が新たなフェーズに入った今、社会全体で現実的な対策を講じていくことが必要かもしれない。