「野党乱立なら自公過半数回復」との試算も(左から玉木雄一郎氏、神谷宗幣氏/時事通信フォト)
選挙で衆参の与党過半数を失った総理大臣が退陣せず、むしろ支持率が上昇するという奇妙な状況が生まれている。党内の反主流派や野党の追及が勢いづかないなか、石破茂・首相が、“伝家の宝刀”とも言える「解散・総選挙」に出る可能性も囁かれている。その裏には、ある衝撃的なデータの存在があった──。【全3回の第3回。第1回から読む】
石破首相が強気の理由
野党側も石破おろしの展開次第では「まさかの解散」がありうると見て身構えている。
国民民主党の玉木雄一郎・代表は、「時の総理大臣が権力を維持したり、党内外に力を発揮できるのは、人事と解散権。我々としても、いつ解散があってもおかしくない。もっと言うと、年内に衆院選があってもおかしくないという構えで、準備はしたい」(8月23日のCS番組『国会トーク フロントライン』)と語り、次の総選挙では国民民主党単独で内閣不信任案を提出できる「51議席以上」を目標に掲げた。
反石破派が掲げる石破おろしの最大の理由は昨年の総選挙、東京都議選、参院選と3連敗したことだ。にもかかわらず、石破首相が「解散・総選挙」に強気な姿勢なのはなぜなのか。
それは「野党乱立なら自公過半数回復」という試算があるからだという。
大阪維新の会の創設者で大阪府知事と大阪市長を歴任した橋下徹氏はXの投稿(8月10日付)でこう指摘している。
〈今回の参議院選挙比例票を衆議院小選挙区に機械的に割り振ると、野党が共倒れし与党が過半数を確保するとの計算結果あり。石破さんが自民党内の猛反発を受けながら、国会議員の個人財布となっている政党支部を潰して解散総選挙を打てるか。自民党の嫌がることをやればやるほど支持率は上がる。石破さんに反対する者に対して刺客を送る覚悟があるか〉
参院選で自公は惨敗して過半数を失った。それが衆院選であれば、本当に自公過半数は可能だったのか。
そこで本誌・週刊ポストは7月の参院選の選挙区、比例代表の政党別得票をそれぞれ衆院選の小選挙区、比例代表(ブロック別)に再集計し、各党の議席を推計した。