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《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」

香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?

香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?

 かつて香港に存在した巨大スラム街「九龍城砦」が、人の心を惹きつけてやまない。取り壊しから30年を経た現在も実写映画やアニメーションの題材となり、作品はヒットを連発している。

「今春には『九龍ジェネリックロマンス』(テレビ東京系)というアニメが放送されました。九龍城砦をモチーフにした舞台設定は、どこか不思議な懐かしさを感じさせる。8月末には実写版映画が公開されますが、どのように九龍城砦を表現するのか注目されています。

 また昨年5月に開催された第77回カンヌ国際映画際では『トワイライト・ウォーリアーズ 決戦!九龍城砦』が高く評価されました。主人公が九龍城砦で犯罪組織の争いに巻き込まれていくストーリーで、香港では歴代1位の観客動員数となるほど大ヒットしました」(大手紙文化部記者)

 九龍城砦とは、元々は19世紀に当時の清朝が築いた軍事砦だ。香港は1899年までにほぼ全域がイギリス領となったが、九龍城砦は中国との間で管轄が曖昧になり、双方の警察が介入できず、治外法権状態となった。九龍城砦には、サッカー場4面ほどの広さにビルがひしめきあい、内部はさながら巨大な迷路。大陸からワケありの中国人も集まってきた結果、最盛期には5万人もの人が住む無法地帯となったという。

「九龍城砦ではアヘンなどの密売が行われ、売春宿もありました。違法の診療所や食堂もあり、工場もあったといいます。建物がひしめきあって光も差さない。『大都市の魔窟』といったイメージは、これまでさまざま作品に影響を与えてきました」(前出・記者)

 そんな九龍城砦でかつて実際に生活していたというのが、さいたま市の吉田一郎市議だ。吉田市議は、大学4年生の夏に香港に留学し、取り壊し前の九龍城砦の一部屋を借り、生活していた。香港に魅入られた吉田市議はその後、現地の邦字新聞に就職した。

「私が香港に留学したのは、まだイギリスによる植民地だった1985年でした。 当初は日本人オーナーのゲストハウスで生活していたのですが、日本語を使ってしまう生活に嫌気がさし、部屋を探したんです。それで見つけたのが九龍城砦です」

 現在の香港と比べると当時の賃貸相場はかなり安かったとはいえ、それでも世界有数の大都市ゆえにそれなりの賃料を払わなければいけない。そんな中、懐事情が厳しい留学生にとって、割安な賃料で住めた九龍城砦はうってつけだった。

 ただし、治安の不安を受け入れれば……。

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