那須野容疑者に対する刑事裁判が開かれた東京地裁(時事通信フォト)

亡骸の横で2時間仮眠

「物音が聞こえて通報される」とおそれた那須野容疑者は、Aさんに馬乗りになり、その首を手や紐で絞めた。性的暴行を加えるために“酒に酔わせる”ことに執着した同容疑者は、ぐったりしたAさんの口にワインを注いで飲ませ、Aさんが動くたびに馬乗りになり、首を絞めることを繰り返した。

 こうした行為によりAさんは亡くなったが、那須野容疑者は当時、性的暴行を加えることに熱中しており、気づかないまま行為は続けられた。さらにAさんの写真を撮影し、脅迫メールをAさんに送信。全てが終わってから同容疑者はようやく、Aさんの顔色に異変が生じていること、そしてAさんが息をしていないことに気づいたのだった。

 Aさんの体内に残った精液から自らの犯行が発覚することを恐れた那須野容疑者は、逃亡を決意したが、その前に、亡くなったAさんが横たわる部屋で2時間ほど仮眠を取る。逃走資金として自分の口座から40万円を引き出し、自宅に戻った。

 そこで「事件が発覚するのは29日夜、Aさんのバイトの時だろう」と考えた那須野容疑者は、それまでに隠滅工作を図ろうとする。まず、先ほど自分が常軌を逸した行為に及んだAさんの部屋へ舞い戻り、Aさんの遺体をユニットバスに運び、シャワーの水を膣に当てて精液を洗い、部屋の床を拭き、指紋を拭き取った。

 飽き足らない那須野容疑者は、さらなる隠滅のため、Aさんの住む集合住宅に火を放つことも決意。翌日の発覚直前に決行することを決め、夕方に一旦、Aさんの部屋をあとにしたが、その直後にAさんの姉が部屋を訪ねたことから、事件が発覚した。遊びに行く約束をしていたAさんと電話が繋がらないことを不審に思っての訪問だった。同容疑者は部屋を出てから店を3軒周り、放火のためのサラダ油を購入したのちに逮捕された。

 そんな那須野容疑者は被告人質問において「強い力は危険なので力を抜いて絞めようと思った」など、理解し難い独自の“首絞め”論を展開してゆく。

後編につづく

◆取材・文/高橋ユキ(ノンフィクションライター)

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