2024年、9年ぶりに日本代表ヘッドコーチに復帰したエディー
──あの勝利が日本ラグビーに与えた影響は?
10年前の勝利は、いまの日本ラグビーすべてにつながっています。2019年W杯日本大会でのベスト8という快挙も、それによって日本代表が子どもたちの憧れになったのも、あの勝利を抜きには語れません。私はブライトンの後に日本代表のHCを離れ、2024年に戻ってきました。それも2019年にイングランド代表初の外国人HCとしてW杯で準優勝に導いた経験を還元するために他なりません。
今秋のテストマッチでも、日本はオーストラリア、アイルランド、ウェールズ、南アといった「ティア1(世界ラグビーで最上位のグループ)」の国々と対戦しますが、マッチメイクが可能になったのは、10年前、日本代表が世界中に衝撃を与えたからとも言えるでしょう。
過去の成功体験をどう引き継ぐか。いま、代表合宿に五郎丸や広瀬俊朗、大野均ら歴史を変えた立役者たちを呼んで、若い選手に体験を語ってもらう機会を作っています。彼らは10年前、日本ラグビーの誇りを取り戻してくれました。その日本代表の誇りが、ミラクル2──奇跡を再び起こす原動力になるのです。
【プロフィール】
エディ・ジョーンズ/オーストラリア出身。東海大学でプロのラグビー指導者としてのキャリアをスタートさせ、2003年にオーストラリア代表HCとしてW杯で準優勝。07年、南アフリカ代表のテクニカルアドバイザーを務め、W杯優勝した後、12年に日本代表HCに就任。15年よりイングランド代表HCを務め、19年W杯で準優勝。24年に日本代表HCへ復帰した
取材・文/山川徹(『国境を越えたスクラム』著者)
※週刊ポスト2025年10月3日号