広陵野球部の中井哲之・元監督
刑事告訴を受け、被害者A君の父親はこう話す。
「私どもが加害者氏名を公表したことはありませんし、法律に触れるようなこともしていませんが、SNS上に名前が出て二次被害が起きてしまうことは絶対に避けなければならないと思います」
部員間での刑事告訴という事態をどう受け止めるか、広陵に見解を問うと「当事者とされる生徒やその親権者の間で告訴がなされたとの報道に接しておりますが、詳細な内容を把握しておりませんので、申し上げる見解はございません」と対岸で起きている火事のような反応だった。これでは被害者や世間の信頼は取り戻せないだろう。
部内暴力事件の検証や再発防止策についても同校に尋ねると、「再検証のための第三者委員会に委ねております。また、野球部の指導体制につきましては、第三者を含めた学校改善検討委員会のご意見をお聞きして、検討してまいります」と回答した。
9月20日には秋季広島大会がスタートし、地区予選を勝ち上がった広陵の硬式野球部も出場する。来春のセンバツ切符を目指すと同時に、解決しなければならない問題は山積みだ。
取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2025年10月3日号