女性初の総理を目指す高市早苗氏(写真/共同通信社)
日本社会で女性活躍が叫ばれて久しいが、もっとも遅れているのが永田町。そんな政界で、実質的にこの国のリーダーを選ぶ戦いに名乗りを上げた高市早苗氏。保守派の代表格となった彼女が3度目の挑戦となる「女性初の総理」の道。唯一の女性候補の課題と現在地を追った。
「いま必要なのは暮らしや未来への不安を、夢や希望に変える政治だ」──そう語り、10月4日に投開票を迎える自民党総裁選への立候補を正式に表明した高市早苗・前経済安全保障担当大臣(64才)。
「石破政権と距離を置き、次期総裁選にもかなり早い段階から意欲を見せていましたが、正式表明までには時間をかけました。連日、高市さんを支援する議員らと議員宿舎で秘かに集まったりして、選挙戦の公約や戦略を練っています」(全国紙政治部記者)
初めて挑戦した2021年の総裁選では、安倍晋三元首相の支援もあって躍進した高市氏。昨年の総裁選では1回目の投票でトップになり、憲政史上初の女性総理の座まであと一歩に迫るも国会議員票を集められず、決選投票で石破茂首相に敗れた。今回も小泉進次郎氏と並ぶ最有力候補のひとりで、長らく女性議員を阻んできた「ガラスの天井」の突破を目指せる位置にいる。
そんな高市氏だが、総裁選を巡る攻防は、序盤から誤算も見受けられる。
東京23区を災害級の大雨が襲い、記録的な大雨情報が次々と発表された9月11日の夕刻、高市氏の姿は議員会館の一室にあった。
「昨年、決選投票で高市さんを支持した加藤勝信財務大臣に、自身の陣営への参加を呼びかけるため面会したのです。高市さんは面会後、上機嫌な様子でした。しかし、加藤さんは結局、進次郎さんの陣営に加わってしまった。あの日、高市さんは手応えを感じていたのでしょう。記者団に『私、いつもと違うのわかる? コンシーラー変えたのよ(笑い)』と語りかけ、いつになく浮かれた様子でしたが、加藤さんに袖にされた格好です」(前出・全国紙政治部記者)
さらに昨年の衆院選と今年の参院選で、党内の高市氏の支持層である保守派から多くの落選議員を出したことも不安材料だ。
「これまで安倍元首相など自民党の保守派を支持してきた党員のなかには、参政党など、より過激な主張を繰り広げる政党の支持に回った人も少なくない。高市さんにとっては歓迎しがたい状況です。また2021年の総裁選に敗れたのち、支援してくれた議員たちに高市さんが挨拶しなかったとされることも禍根を残しています。彼女が義理に欠ける人間であると思っている人は党内にも一定数いる状況のようです……」(永田町関係者)
前回の総裁選では、「お願いやで、頼むで」と自身への投票を求めて直接電話作戦も敢行していたという高市氏。実際に電話を受けたある議員は、「『うんと言うまで、電話を切らない』と言われて、あれは半ば脅しでしたね」と苦笑交じりに振り返った。