1993年に初当選を果たし、支援者らと喜びに浸る高市氏(写真/共同通信社)
憧れの人は“鉄の女”
奈良県出身の高市氏は神戸大学を卒業後、松下政経塾に入塾。米国派遣を経験したのち、テレビ番組のキャスターを経て政界に進出し、1993年に無所属で出馬した衆院選で初当選した。
「政界入りして所属したのは、政策集団の『リベラルズ』でした。キャスター時代は左寄りで知られる大橋巨泉氏ともタッグを組み、現在のような保守派の面影はありませんでした」(前出・永田町関係者)
リベラルズから自由党、新進党を経て自民党に入党したのは1996年だった。
その後、落選を経験するなど、なかなか軸足が定まらなかった高市氏を寵愛したのが安倍元首相。2012年に第二次安倍政権が発足すると、高市氏は女性初の自民党政調会長に抜擢され、その後、総務大臣に就任した。
「安倍政権時代に重役を任されることで、高市さんは徐々に『安倍さんより右寄り』の姿勢をアピールする保守路線に変更していきました。安倍さん自身は、過激な内容でも女性が発信すると、どこかマイルドな印象を与えることをよく理解していた。そのため、意識的に高市さんら側近の女性議員たちに右寄りの発言を任せていた節がうかがえます」(前出・永田町関係者)
安倍元首相のバックアップで政界での地位を確立した高市氏について、ある女性議員はこう評する。
「トレンドを追いかけるような印象もあるし、色気があって知的ですが、野心家の一面もある。女性の代表というよりは、『男よりも男らしい』とか『女性にしておくのはもったいない』と言われて喜ぶタイプのようにも見受けられます」
さまざまな評価がある高市氏だが、ある自民党関係者は、「高市さんは小池百合子東京都知事(73才)と多くの共通点がある」と語る。
たしかに、関西出身で、キャスターから転身して政党を渡り歩き、防衛大臣や自民党総裁候補、都知事など数々の「女性初」を経験した小池氏と高市氏には重なる部分が多い。
「権力志向が強い面も似ています。実際、2人がともに新進党に所属していた頃は、当時の小沢一郎党首との距離の近さを競い合う場面がみられました」(自民党関係者)
そんな高市氏と小池氏は「憧れの政治家」も一緒だ。
「小池さんは常々、イギリスのサッチャー元首相に言及しています。先進国初の女性首相で、保守的かつ強硬な政治姿勢から“鉄の女”と呼ばれた彼女については、高市さんも自身のサイトで憧れの人として挙げています。2人とも女性からの支持が多いタイプではないですが、“鉄の女”に憧れているところも共通しているのです」(前出・自民党関係者)
9月13日から14日にかけて行われた読売新聞の世論調査では、小泉氏を抑え、「次の自民党総裁にふさわしい人」のトップになった高市氏。
「高市さんが、サッチャー氏のような保守的な思想や強硬な政治手法だけでなく、生活に密着したメッセージを発信し、女性党員や穏健派の議員にまで支持を拡大できるかが、今後の総裁選の行方を占う鍵となってくるでしょう」(前出・全国紙政治部記者)
“鉄の女”に近づくことができれば、「ガラスの天井」の突破も現実味を帯びてくるが、その壁は高い。
※女性セブン2025年10月9日号