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《『あんぱん』撮影秘話》「千代子さんにまた笑って欲しいと…」柳井家の“おしんちゃん”を演じた瞳水ひまりが振り返る「バチバチの空気」と「地元・高知への思い」

柳井家の女中・宇戸しん役を演じた瞳水ひまり(写真提供/NHK)

柳井家の女中・宇戸しん役を演じた瞳水ひまり(写真提供/NHK)

 9月26日に最終回を迎えるNHK朝ドラ『あんぱん』。放送開始以来、作品の人気を支えてきたのが主人公2人を取り巻く個性豊かなキャラクターたちだった。柳井家の女中・宇戸しん役を演じた瞳水ひまりは物語の舞台でもある高知県出身。撮影時の思い出や作品への思いを振り返った。

 * * *
 おしんちゃんは柳井家の女中という立場なので、自分の気持ちを表に出す場面はあまりありません。ですが、心の中では常に柳井家の皆さんそれぞれへの思いがあることを忘れないよう演じました。

 登美子さんが8年ぶりに戻ってきたシーンでは千代子さんとの間に挟まれて逃げるタイミングを失い、“バチバチ”とした空気のなか、おしんちゃんを通して私自身、本当にこの場から逃げたいと感じました(笑)。

 撮影後、松嶋菜々子さんが「濃茶を飲んで胃が痛くならないよう何か食べたほうがいい」と気遣ってくださり、安心したことをよく覚えています。

 そんなおしんちゃんが初めて自分の本音を吐露したシーンがあります。嵩さんが復員して柳井家に戻り、千尋さんの戦死を知り絶望に打ちひしがれるなか、「以前の柳井家に戻りたい」と涙ながらに訴える場面です。

 私は戸田菜穂さん演じる千代子さんへの思い入れが強くありました。寛先生が亡くなり、千尋さん、嵩さんが出征後は柳井家で2人で過ごし、支え合って生きてきました。

 千代子さんのやつれた姿を見て、「3人になってしまったけど、千代子さんにまた笑ってほしい」と心から願ったことでおしんちゃんの本音を伝えることができました。

 連ドラ自体が初めてのなか、大先輩方とお芝居するのは本当に緊張したのですが、北村さんはじめ柳井家の皆さんが私の出身地でもある高知のことを聞いてくれたり、今田さんがいつも笑顔でいてくださって現場の空気はとても明るかったです。

 自分が生まれ育った土地の朝ドラに関わることの責任と、嬉しさを常に感じながらの日々でした。

 キャストの方々は土佐弁が本当に上手で、「言い方が合っているか」と私に聞いてくださるのですが、直すことがほとんどなかったのは驚きでした。

 周りの友人も「たまるか!」などの言葉をプライベートで使っていると聞き、高知への関心が高まるのを感じました。

 ドラマを通じて、誰かの人生を明るい方向へと変えることができると実感しています。

【プロフィール】
瞳水ひまり(ひとみ・ひまり)/2002年生まれ、高知県出身。2023年より役者活動開始。主な出演作品にドラマ『民王R』『放送局占拠』など。

※週刊ポスト2025年10月3日号

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